見出し画像

差別に遭遇し、指摘し、アフターフォローまでした話

なんだか大げさなタイトルにしてしまいましたが、私が先日経験したことをシェアします。

アジア人が遭遇する「チン・チャン・チョン問題」

ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、アジア人、特に東アジア系の容姿の人間は、外国で現地の人から「チン・チャン・チョン」とはやし立てられることがあります。中国語をはじめとするアジアの言語が、そのほかの地域の人々にはそのように聞こえるようです。

日独ハーフであるサンドラ・ヘフェリンさんがこのことについて詳しく書かれているので、ぜひご参照ください。
私も海外旅行中に、何度も言われたことがあります。
でもここ数年は耳にすることもなかったのですが、先日久々に遭遇してしまいました。

レッスン中の晴天の霹靂の巻

どこで遭遇したかというと、オランダ語学校のレッスン中でした。最近、オンラインではあるものの、少人数のオランダ語コースにエントリーしました。クラスには、私を含めて5名在籍。アジア系は私だけです。

とある日のレッスン終盤、その日のレッスン範囲を終えるためにやや速足で講義がなされていました。そしてクラスメイトがテキスト中のとある文章を読み上げる順番のとき、「-ng」で終わる単語の発音を間違えたのですね。オランダ人の女性の先生(多分50代後半くらい)がそこを指摘しました。

その単語の「ng」は「んぐ」ではありません。中国人が言う「Ching Chang Chong」(チン・チャン・チョン)と同じですよ。

私はその時、聴いたことが信じられなくて固まってしまいました。様々な外国人を相手に教えている教師が、よりによってその言葉をチョイスするなんて!

けれど、そのテキストを読んでいたクラスメイトは合点がいったようで、正しい発音で読み続けました。前述のように時間が足り無さそうな状態だったこともあり、その時はそのまま授業を聞き続けました。

メールでの指摘の巻

そして授業終了後。その教師に直接メールを書きました。
その人が差別的な人ではなく、ただ差別の自覚が無いだけだと分かっています。そして私もショックではあるものの決して怒ってはいません。その点を分かってもらえるように、言葉を選びながらメールを書きました。

先生が今日のレッスンでおっしゃった「チン・チャン・チョン」は、アジア人を差別する言葉だということをお伝えしたいと思います。
多くのアジア人は、その他の地域の人々によってその言葉で差別されています。外国人には「チン・チャン・チョン」と聞こえるかもしれませんが、決してそういっている訳でもありません。
今後は、その言葉を使うのをやめて頂ければ幸いです。

敬具

上記のような内容です。
この際、私が日本人だとか中国人とか関係なく、アジア人全体の差別問題として提示しました。
そして、先生から返信はすぐに届きました。けれど、そのメールを読んで二度目・三度目のびっくりを体験することになります。

アフターフォローの巻

先生からの返信の書き出しは、以下のようなものでした。

大変申し訳ございません!私にとってはあの言葉はただの「音」だったので、差別の意図は全くありませんでした。そのことを分かって頂きたいです。

謝罪の言葉が一番に書かれていて、ひとまずは理解してもらえたようで、一安心。そしてこのあたりまでは、想定内でした。けれど、そこから衝撃の展開が。

実は私の知り合いのオランダ語教師が、「ng」の発音を解説する時に「Ching Chang Chong」(チン・チャン・チョン)を例に出すと、みんな理解してくれるとアドバイスしてくれたので、それに倣っていました。

ひえー!他にも言ってるオランダ語教師がいた!しかもアドバイスしてる!
そしてそれを素直に受け入れてしまう無邪気さよ…。
でも一番驚いたのは、その次の一言。

今後「Ching Chang Chong」(チン・チャン・チョン)を例に出せないとなると、私はどんな単語を例に挙げればいいでしょう?

ええええー!
それ私に訊くの?生徒だし当事者なんですけど!?
いや、当事者だからこそなのか???
けれど乗りかかった船だし言い出しっぺでもあるので、自分の中の語彙を総動員し、

「HongKong」(ホンコン)はどうでしょう。

と返信しました。
先生も私の提案を気に入ってくれたようで、今後はそれを使ってくれるそうです。

私自身の経験も

でも思い返すと、かつては私も無意識に差別的な言葉を使っていました。私が子供の頃にあった「〇〇〇〇〇カメラ」とか。そんな意味だなんて全然知らなかったんで、平気で口にしていましたよ。でも言葉の由来を知った時はショックでしたね。
だから、何事も知ること・知らせることから始まるのだと思います。

今回のオランダ語の先生の様にスムーズに話が進むことばかりじゃないと思いますが、似たようなことがあれば今後も地道に指摘していきたいです。

==========お知らせ==========

電子書籍出版しました!
(Kindle版)「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間
(紙版)「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間

レギュラーで書いている主な執筆媒体のご紹介です。
ぜひ読んでみてください♪

novice」(NEW!)

「イエモネ」
https://iemone.jp/article/lifestyle/naoko_kurata_518/

「現代ビジネス」(不定期掲載)
http://gendai.ismedia.jp/list/author/naokokurata

「Glolea!」(プロフィール&執筆記事一覧)
http://www.glolea.com/ambassador/kurata-naoko/profile

「未来住まい方会議」(執筆記事一覧)
http://yadokari.net/author/kurata/

「TABIZINE~人生に旅心を~」(執筆記事一覧)
http://tabizine.jp/author/kuratanaoko/

「ima(今) 海外リポーターが伝える世界の生活情報サイト」 (執筆記事一覧)
http://ima-earth.com/contents/profile.php?userid=kurata




この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?