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オランダの少人数&高額私立小学校

仕事で、とある小学校を見学させていただく機会がありました。
まず説明したいのが、オランダ国内でも小学校の「公立・私立」の認識は分かれているということ。国が設立した正真正銘の公立校は約30%なのですが、財団や組織などが作った小学校(主にオルタナティブ教育や宗教理念に基づく学校)でも国が学費を負担しているため、当のオランダ人でも「私立」ではなく「公立校」だとみなしていることが多いのです。

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けれど今回視察したのは正真正銘の「私立校」で、国からの援助を一切受けない特別な学校になります。しかも少人数制をとっていて、1学年1クラス/最高8人までしか入学できない方針なのだとか。姉妹校あわせて3校あるそうですが、この建物には27人が通っているそう。
国からの援助がないため、場所代・教師の給与・教材代などすべて保護者が支払う学費から賄われます。しかも少人数制なので、1人あたりの負担額は高額。年間250万円ほどになります。インターナショナルスクール並みですね。

けれど近年、こういった「国から補助金の出ない私立校」が増えてきているのだとか。その理由は、私が再三このnoteでも書いてきたオランダの深刻な教師不足に起因しています。

オランダの教師は昇給も少なく、特に都会の高い家賃を払いながら働くのは大変なようです。しかも給与に責任と仕事量が見合わないと言われています。
そこで教師たちは定期的にストライキを行うのですが、そうすると、学校は休校になってしまいます。
そして教師が足りない学校は、クラスが合併され大人数のクラスに再編成されたりも。そうするとなかなか生徒ひとりひとりに目が届かないようです。
中には、遠くにある別の小学校にバスで通わなくてはならなくなった生徒のニュースも見たことがあります。

こんな不安定な状態ですが、オランダは法律でホームスクールはできないことになっています。必ずどこかの小学校には所属しなくてはいけないのです。
そういった状況に不満があり、かつ経済的に余裕のある保護者達が「(給与が高いから)教師のストライキが起こらない」「少人数だから個々に目が届く」小学校を求めるのも自然な気はします。

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しかもこの学校、毎日手作りランチもふるまわれるのだとか。サンドイッチをはじめ、トマトスープやクスクスを出す日もあるそう。ちなみに調理は先生が交代で行います。

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ただ、「保護者にお金がないと良い教育が受けられないというのは不公平」という意見は当然国内で出ています。日本の私立校や塾の問題などに関しても、共通する話ですよね。
そういう理屈も分かるのですが、教師の待遇が良くなり、人手不足が解消されるまで待っていられないという保護者の気持ちも分かります。小学校の時期はあっという間だし、人生を左右する根幹でもあります。

何はともあれ、国には一刻も早く状況を好転させてほしいと思います。

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