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Trinitatis ad proelium フレーバー

このページは、twitter一次創作企画「Trinitatis ad proelium」のFAQに入りきらない微細な情報や補足を公開する場です。逐次追記をします。

※概要欄にない情報が含まれますが、必ずしも従う必要はありません。このページに書かれた情報は非公式と同等に扱っていただいて構いません。


1.フロレンツィア王国の変化について

図38

フロレンツィア王国は700年前と国土の広さや地区制度など大まかな部分の変化はあまり見られませんが、いくつか変わった部分があります。
各地区の行政や地理条件に着目して言及していきます。

東区
かつて良質な金属を産出していた鉱山が枯れ、鉱山跡となっています。
ですが活気ある街や金属を求めて集まった職人や技術、整えられた流通網は残ったため、付加価値を高めたより高度な加工を施す職人街になりました。
時計通りの隣は宝飾品通り、その奥は武具広場…など地区内に様々な品目を取り揃えています。
元が鉱山のふもとの町なので、標高差が激しくあまり人が住むのに向かない土地ではあります。しかしその土地を共に切り開いてきた同志という意識が強いのか西区の住民たちの多くは絆深く土地への愛着を持っているようです。
仕入れや輸出の関係上南区と連絡を取り合うことも多く、ほかの地区と比べると緊密に結びついています。

西区
広い平野と清らかな水を活かした一大農産地です。王国の食糧庫とも台所とも呼ばれているようです。小麦や野菜だけでなく牧畜や果樹園も営むようになりました。
昔は農地に適さないとされていた土地にも開拓の手を伸ばし、土質の調査や調整などに努めた結果です。王国の食糧自給率に大いに貢献しており、近年では作物のブランド化にも挑戦しているようです。
一見のどかに見える西区ですが、収穫期や作付け時などには目の回るような忙しさです。そうした人々の束の間の憩いの場が地区内にいくつも残された古い教会だったようです。古いものを大事に使い続ける西区の地域性も手伝い、ほかの地区に比べると歴史の深い教会が多く現存しているようです。

南区
古くから貿易で栄えていた港町は、国内外の交易と商業を一手に担う一大都市へ進化しました。
700年前、街並みが壊滅的な被害を受けていましたが、当時の領主たちはこれを好機と見るや一から都市計画を練り直しました。物流を運びやすくかつ守りやすい土地を目指して区民たちと手を取り合って取り組んだようです。
干拓にも意欲的に取り組み、利用可能な土地の拡充やより大きい船を入れられる港の建設など快適に暮らすための努力は惜しまなかったと伝えられています。
最先端の文化の発信地でもありますが、一方で古い慣習や言い伝えも大事にする新旧混在の都市でもあります。快活で柔軟ながら信念を重んじる南区民たちの性格がよく表れた部分といえるでしょう。


北区
かつて森に閉ざされた未開の地と呼ばれた北区は神秘のベールを脱ぎ捨て、IT特区となりました。また、豊富な木材資源も収入源の一つです。
ただ北区へつながる道は現代においても難所が多く、整備されたとはいえ頻繁に行き来する人は少ないようです。
機械技術が発展の兆しを見せる少し前に、当時の北区首長は大決断をして大量の機材を地区全体に敷設しました。突然発注を受けた南区の業者は仰天し、十五回も確認の書状をしたためました。それ以来王国では信じがたいことが起きた際には十五回聞き直した、と冗談めかして言いあうようです。
中央区への負けん気が強く、数値や科学などの目に見えるものに強い街にしたいという行政の姿勢が無事花開き、今の北区があります。
北区は王国の中でも自治領のような独特な位置を保っており、地区内で完結した雰囲気を持っています。

中央区
石造りの堅牢な円形都市は在りし日の姿をありありと残しています。ただ、円の中心には王宮の他に議会場が設置されています。
かつては王政だったこのフロレンツィア王国は、現代では象徴君主制へと切り替わりました。民主主義の象徴である議会場を中央区の中心に据えることで国の在り方が大きく変わったことを示したのです。
円の中心から遠ざかるほどに石造りからビル街へと徐々に変化していく様子は望遠写真や航空写真などでよく撮影され、中央区の象徴的な光景として愛されています。
ただ、首都として主だった機関が集中しているここ中央区では悪魔憑きの事件が頻発しており、住民たちは不安を抱えながら過ごしているようです。


2.教会について

図39

教会は本来地区の垣根を超えた独立組織として存在していたのですが、地域性による思想の違いは埋めがたく、各地区の教会にも性格のようなものがあるようです。
相互支援や連携事業などでできる限り連絡を取り合うようにはしているようですが、居合わせた聖職者によってはそりが合わないことも。
もちろん派閥に属さず自由気ままにふるまう方もいらっしゃいます。
そんな各地区における教会の特徴を主だった方針と共にご紹介いたします。

 ー東区

金属加工品の一大産出地である東区では、もちろん武器の生産も盛んに行われています。
全地区の聖職者に携行が義務付けられている銀製の武器はそのおおよそが東区の職人によって作られたものだそうです。
また、山深い土地の合間を縫うように居住地を広げてきた東区には広々とした大聖堂があまりありません。
その代わりに地域に密着したスタイルの教会がそこここに散見されます。

好戦的な気質の者が多いためか、地区として打ち出した方針も悪魔への抗戦と血の気の多いものとなっています。
これは国民が悪魔憑きの被害にあう前にまず原因を取り除かなければ、国民の保護などで対応が後手後手に回ってしまってより深刻な状況に陥ってしまうのではないか、という危機感から発案されました。
危機を未然に防ぐため、自ら戦場の最前線に身を投じます。

 ー西区

西区にはかつて教会が国を守るために立ち上がったと言われる時代の聖堂が数多く現存しています。
その聖堂の中には、当時の様子を事細かに記された報告書や日誌なども丁重に保管されていました。
文献の中に何度も登場した「天使の加護」「悪魔との契約」は長らくなんらかの比喩表現として解釈されていましたが、今回の事件の渦中で実際に起こりうることが判明しました。
資料群の解読作業がもたらした功績の一つとして、「悪魔との契約」がもたらす有用性の発見があります。教えに背く、と否定的な立場をとる聖職者も多くいましたが、一定の利害関係さえ満たせば協力的な態度を取ることもある/一度結んだ契約の条項に反する行動はしない、という特徴が判明し、全地区に伝達されるに至りました。

地区全体としての方針は対話を重んじ、悪魔の改心を促しつつ原因の究明に努めるというものです。
平和を望む理想主義者、と揶揄されることもありますが、使えるものは使えるようにして最後まで使いきるという強かさが発露した部分ともいえます。
先入観を捨て、非常時にあっても慈しみの心を失わず語りかける忍耐強さと頑強さを併せ持ちます。

 ー南区

都市として大きく発展した南区には、宿泊施設や体育館など一時避難先・収容先として利用できる設備がほかの地区より多く存在します。
教会からの要請で一時借り受けをし、悪魔憑き事件の被害者やその近親者のために開放しています。
教会と地域の交流が盛んな地区柄もあり、一般企業やボランティアの協力の申し出も多いようです。
悪魔憑きにも症状の軽重があり、また全快に至るまでの期間を計算しづらいことから、南区は被害者を対象に長期的な支援を行うと声明を発表しました。そのため他地区からも積極的に移送を受け入れているようです。

地区の方針は国民の保護、人命の救助、治療法の確立を目指します。
より安全な環境を確保できるよう様々な企業に掛け合い、協力を取り付けるために奔走することもしばしば。
人命を最重視し、隣人を助けるためにひたむきな努力を続けます。

 ー北区

自治領的な行政の立ち位置と共通して、北区の教会連盟は中央区の指令を無条件では受けず、所属している聖職者各人の判断に任せるという姿勢をとっているようです。
これは個人主義的な北区の地域性とも噛みあい、気が向けば地区外にも手助けに行き、向かなければ北区内で活動を続ける、といった具合で各々自由に行動しています。
情報の取り扱いに長ける人材が多いため、俯瞰的な立場からとにかく情報を集めてこの事件の全貌をつかもうとしているようです。
あまり中央区との折り合いがよくないので、中央区の判断をどこかうがった視点から考え、指令に盲目的には従わず独自の行動をとろうとしています。

公の場では地区の方針を黙秘で貫いています。
情報を集めて事件の発端から解決までの全貌をつかもうという意思はあるようですが、基本的には所属している各人の判断力やスキルに任せるスタンスです。
情報収集に意欲的な態度を取りますが、個人を尊重します。

 ー中央区

意思決定機関が集まる中央区では、教会もまた統括的な役割を背負っています。
他地区に指令を出したり、主だった人事を担ったり、など様々ですが最も重要な役割は各地区の業務が正しく行われているか監査をするというものでした。
ただ悪魔憑き事件が頻発する中、監査業務にあまり手が回らなくなってしまったようです。
今は各地区から寄せられる報告などを頼りに事態の把握に努めています。
また東区には掃討、西区には過去の史料の洗い出し、南区には国民の保護、北区には情報の提供を指令という形で命じ、活動に必要な費用などを経費で捻出しています。

この非常事態に統括・司令を担う存在が必要と捉え、自地区の被害をおして各地区に伝達や作戦を提案したりと裏方の業務に徹しています。
公平な視点を保ち、国全体で一丸となって事件の解決に取り組めるようサポートを続けます。


次回は契約と加護について、次々回は悪魔憑きについて追記予定です。

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