気がかりな手がかり

少年は物騒なものを
頭に向けられて
脅されていた
少年の恐怖は
物騒なものを
向けられたことよりも
会話が成立しなかった
ことにあった
唯一の意思疎通方法が
まったく通用しなかったのだ
今すぐ出て行け
さもなくば撃つぞ
住人は何か言ったが
少年にはまったく
理解が出来なかった
向けられた物騒なものが
視界の邪魔だったので
雑草の髪の毛を使って
ぐにゃりとへし折った
住人は目をまん丸くして
恐怖した
何か叫んでいるが
少年にはまたしても
まったく理解できなかった
ぐにゃりと曲がった
物騒なものを
念のため背中に
仕舞い込んだ
ここの街の住人は
みんなこうなのだろうか
少年は先が思いやられた

◆ 戦利品 ─【物騒なもの】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?