粒が揃う

家族で何となく、ピアノ演奏の動画を見ていた。

「この人上手だね。すごく粒が揃ってる」

今まで誰かのピアノ演奏を聴いてもそんなことは思ったことがなかったのだけれど、この時は何故かそう思って口に出した。

「粒が揃う?」

夫が聞いた。ピアノを習ったことがない人には、確かに馴染みがない言葉なのかもしれない。

「うーんと。『音の大きさが揃ってる』ってこと」

「へー」

夫の答えを聞いて、あ、これは伝わってないな、と思った。私は「ただ音の大きさが揃っている」ということを言いたかったわけではないのだよ。

「ピアノって、指で鍵盤を叩くというか押すというか、するわけだけど。最初は小指とか薬指って力が弱くて、どうしても他の指より弱い音になっちゃうんだよね。それをどの指でも出したい大きさに出せるようにするのに練習が必要でさ。こんなに自在にどの指でも出したいだろう大きさで弾けるって、その気になって相当練習しないと無理だと思う」

私が言いたかったのは、そういうことなのだ。演奏の裏にきっちり基礎をやってきたのを感じるというか、しっかり何年(どころではなくたぶん10年以上)も本気でやってきたのを感じるというか、そういう演奏だったのだ。だからすごいなぁと思った。

まぁ、そういう私自身は、全くピアノが上手いわけではなくて、ただ習ったことがあるだけの人間なのだけれど(ソナチネが終わった辺りで受験と重なってやめてしまった)。それでも先生には何度も注意されたし、ちょろっと練習したくらいでどうにかなることじゃないのは知っている。私の練習量くらいではどうにもならなかったことを、動画の中の人は自在にやっていた(ように聞こえた)のだ。

「指で音の強さが違うとか、考えたことなかったな」

「習ったことないと考えないよね」

これは私がピアノを習っていたからこそ知っていたことで、持っていた視点だったのだろう。

と、考えると。

いろいろ経験するって、やっぱり大事なことなんだよなぁ。

経験しないとわからないことは沢山あるし、経験したから得られる視点がある。いろんな経験をした分だけ、その人の視野は広がるのだろう。もっと正確に言うと、広がる「可能性がある」になるのかな。そこから何かを得ようという姿勢がこちらに無いと、気付けないこともあるだろうし。

1つの物事に対していろんな視点から見られるって、個人的にはすごくいいことだと思うし、お得なことだと思うのだ。お得というと何か違うような?でもやっぱりお得かな。1粒で2度美味しい的な。目の前で1つ何かが起こるだけで沢山気付けることがあるんだから、その分効率がいいような気がする。何の効率かと言われるとわからないし、別に効率重視ってわけでもないんだけど。

うーん。

あえて言うなら「世界を知れる」というか。世界ってとても広いし1人の人間が生きているうちに知れることなんてたかが知れてるのだけど、いろんな視点を持っていることで、その知れる範囲を少しだけ広げることができるのだと思う。そして私は、それに価値を見出しているというか、それを「いいこと、やりたいこと」だと思っているのだろう。

まぁそのためには、どんどんいろんなことを経験しなさい、いろんな視点を持ちなさい、てことだけど。

いざ新しいことをやるとなると、腰が重いのもまぁ事実でありまして。

たぶんやり始めたらやる気は出てくるし、日々何かしら新しいことはやりたいなぁ。

ピアノの動画をきっかけに、そんなことを考えた一日だった。


ではまた明日。