夏、余り、嘘、ほんと.5
「.......よっ!久しぶり。飛鳥。」
『っ......。...ん。久しぶり、○○。』
「......」
『......』
「...あ、あっ!い、一応、病院からの外出許可取れたんだけどさ?これからどっか行く?」
「こんなんでも、状態良好ばっちしだし!」
「あ、っていっても、まぁ4時半までには?
病院に戻ってこないといけなんだけど...。」
『......いい。』
『外に出て、もし私以外の学校の誰かに会ったらまずいでしょ。それに...』
『杖ついてまで歩いてるあんたのこと
無理やり歩かせて悪化させたくないから。』
「......そっ...か。はは...じゃあ、中庭で話そ。」
『ん...』
...
...
...
「......」
『......』
「あー........どう?今の学校?」
「みんな元気してる?」
『...ん。まぁ、元気なんじゃない?』
「そ、そっか...」
「......俺の事でみんななんか言ってた?」
『...さぁ?私は特に聞いてないけど。』
「ははは......そっか....」
『......』
「......」
「......んじゃ、まぁ本題に入るけど。」
「あの手紙に書いてあった、
俺と会って話したいことって?なに?」
『......それは...』
『......』
『............○○、あんたさ。』
『ほんとに...これでよかったの?』
「...?」
「これでよかったのって?どういう意味?」
『だから...その...ほんとに私以外のみんなに病気のこと伝えなくてよかったの?ってこと。』
『だって、みんな...ほんとにあんたが外国の学校に転校したって信じてるんだよ?』
『担任も、友達も、
あんたの幼馴染の子でさえも...みんな。』
「......はははっ。むしろそれがいいんでしょ。」
「だって...もうすぐ病気で死ぬって...それ言ったところで何が変わるわけでもないし。」
「それに...言ったら言ったで、変な空気...
ってか変な感じにきっとなっちゃうじゃん?」
「そう考えるとみんなも俺も良い思い出のまま
区切りよーく別れるための...最適解じゃない?」
『...』
『.........そ。』
『...ま、そう思うんなら...そうなのかもね。』
「......なに?その気になる言い方。」
『......別に。』
「......」
「......じゃあさ、言わせてもらうけど。」
『なに?』
「もし...もし、飛鳥が俺の立場だったら...」
「ある日突然、病気で自分の余命があと半年だって宣告されたとしたら、今どうしてた?」
『......どうしてたって...』
『...わかんないよ。
そんなの...今まで一度も考えたことないし。』
「だろ...?」
「俺も...自分がこの立場になる前に誰かにそう聞かれたら、飛鳥と同じ答えだったと思う。」
「考えたことないからわかんないって。」
『......』
「でも、今の俺は違うんだよ。」
「その、考えたことなかったことを言葉通り死ぬまで考え続けなきゃならないし、わからなくても答えを出し続けなきゃいけないわけ。」
「だから...だからさ......」
「たとえ、これまで出した俺の答えが飛鳥から見て納得できないものだったとしても」
「答えを考えたことすらもない飛鳥が、その答えを揺らがせるようなこと言わないでほしい。」
「さっきみたいに、出し終えたはずの答えをもう一度考えさせられると、やっぱ間違えてたんじゃないかって不安で気が狂いそうになる。」
『...っ...それは..........ごめん。』
「...あ。あ......ううん...俺の方こそごめん。」
「元はと言えば、
俺がこんなことになったのが悪いのに...」
『......』
「......」
『......』
「......飛鳥の話したかったことが済んだなら
俺、もう病室に戻るよ。」
「今日はわざわざ来てくれてありがと。」
『......』
「こんな迷惑かけといて
こんなこと言うのもあれなんだけどさ?飛鳥」
「もう二度とここには来ないで欲しい。」
「...これも、俺が今出した1つの答えだから。」
『.......』
「...じゃ。さよなら、飛鳥。」
『.........』
『.................』
『..........................』
『........っぅ............っ........ぅ...うっ..........』
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