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ノンアルコールペアリング研究その5「麹を活用した日本酒風ドリンク」

さて、ノンアルコールペアリング研究第五弾です。前回まではワインをノンアルコールに置きかえるアプローチをとりましたが、今回は日本酒です。日本酒のなかの糖度、粘度、甘さや酸味をノンアルコールの材料で置き換えていく形です。

味の土台になるのは甘酒です。麹を活用したノンアルコールは以前、Grisというお店で当時ソムリエをしていた外山さんという方が考案されたドリンクで、このレシピはそれがベースになっています。

甘酒は米のデンプンを麹によって糖化させたもの。この状態では酵母が介在しないため、アルコールは生成されません。かならず無加糖のものを使ってください。

この甘酒。そのまま飲むには甘みも濃度も強すぎ、食事にはあわないので水で薄めます。甘酒200ccに対して、水300ccをあわせます。

火にかけて沸かします。ここでフレーバーを足していくのが基本的な形。バナナや洋梨のフレーバーを足すと吟醸っぽさが出ますし、リンゴやゆず茶という手も考えられます。

しかし、今回加えるのは杉です。削ったばかりの杉箸をもらったので、これを削ります。

表面積が広いほうが香りが抽出しやすいのでカンナで薄くしたものが使いやすいと思います。ちょっと鰹節みたいですね。

投入します。

冷ますまで置き、時間に余裕があれば一晩。杉の香りを液体に移します。

さらしを二重にしたものか、キッチンペーパーで濾します。木くずが入っていたら大変ですからね。

出来上がりはこんな状態。

この状態だと酸味がないので、すだち果汁で味を整えます。しかし、酸味のつけすぎは厳禁。200ccに対して小さじ1/2〜1程度が適量でしょう。

米麹のかすかな甘さとすだちのすっきりとした酸味を感じるドリンクになりました。比較的、様々な料理とあわせやすいか、と思います。

すだちの香りが気になる、という場合、クエン酸で酸味をつける方法もあります。こちらは200ccに対して0.2〜0.3gが適量。(写真は400ccにたいしてあわせました)少量でも強い酸味があるので、注意しましょう。

日本酒の大手、月桂冠がノンアルコール日本酒を販売しているのですが、これが非常に難しい商品。日本酒の香りは感じますが、味は結構微妙なところがあります。

もう一社、福光屋さんがノンアルコール日本酒を出しています。

amazonのレビューは散々ですが、どちらも方向性こそ違い、それぞれの可能性を感じる味ではあります。日本酒がワインやビールと比べ、ノンアルコールにするのが難しいのは含まれるアルコール分がほかの種類と比べると高いため。単純にアルコールを除去しただけだと他の酸や糖度とのバランスをとるのが難しくなるのです。今回の提案では思い切って要素を削り、甘酒の糖と杉樽っぽい香り、それにクエン酸という形に単純化しています。単体で飲んでも「ふーん」という味かもしれないですが、料理と組み合わせることで力を発揮するはず。

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撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!

ありがとうございます。料理のリクエストがあればコメントに是非
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樋口直哉 作家・料理家 主な著作として小説『スープの国のお姫様』(小学館)ノンフィクション『おいしいものには理由がある』(角川書店)料理本『新しい料理の教科書』(マガジンハウス)など。

コメント1件

日本酒風!ありがとうございます!ありがとうございます!
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