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クラフトコーラっぽい飲み物の作り方

クラフトコーラという単語はすっかり定着しましたが、今日はコーラっぽい飲み物の基本的な作り方をご紹介。

コーラをどのように定義するか、というのはなかなか難しいところ。コーラという飲み物はコーラの実から抽出したコーラエキスを用いたことに由来するそうですが、コーラの実がなければコーラは作れないのか、というとそんなことはありません。そもそも世界で一番ポピュラーなコーラであるコカコーラにコーラナッツは使われていませんし。

このあたりのコーラナッツについての考察やコーラの歴史についてはTETOTETOの井上豪希君がnoteでまとめているので、参考になります。当該noteには

コーラナッツを使わないレシピも、コーラなのです。

とありますが、僕も同感。しかし、こう考えると、コーラをどのように定義したらいいのか……というのが、なかなか難しいところです。とはいえ、クラフトコーラっぽい飲み物であればスパイスと糖類、酸味を合わせれば簡単にできます。というわけでレシピです。

クラフトコーラっぽい飲み物
クローブ   2g
カルダモン  2g
シナモン   2g
コリアンダー 2g
ブラックペッパー 1g
レモン    1個
ライム    1/2個
水      200g
グラニュー糖 200g

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材料は極めてシンプルなのですが、このレシピの特徴は『カラメルが入らない』こと。カラメルが入らないとコーラの特徴的な黒い色が出ませんが、そこは「タブクリアという無色透明コーラも昔あった」という反論をして誤魔化します。(タブクリアはすぐに消えたので、知らない人は検索してください)

自作したカラメルを入れたバージョンも試作したんですが、どうにもこうにも味にキレがなくなるのです。というわけで思い切って省きました。

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スパイスは石臼やすり鉢などで粗く潰しておきましょう。スパイスの特徴としては「バニラ」を省いています。というのもバニラを入れると、どうもキレが出ないのです。甘い香りはクローブがあれば充分かな、と思ったので省きました。(クローブは苦味も担当します)

代わりに増やしたのはコリアンダーです。コリアンダーとライムの香りを合わせるとコーラっぽい香りになるので、そのあたりを強調した形です。

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あとはすべての材料を鍋に入れて煮るだけです。柑橘を搾り入れましょう。皮の精油の香りが重要なので、鍋の上で皮を下にして搾り、皮も入れて煮出します。

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コカコーラの特徴はリン酸の酸味ですが、入手が難しいですし、あまりいいイメージがありません。レモンやライムの量を増やすと香りが強くなりすぎるので、酸味を足したい場合はクエン酸を入れるのがセオリー。酸味は何種類もあった方が味が複雑になっておいしいので、さらに上を目指すのであればリンゴ酸が合うんですが……

さすがに量が多すぎるので、今回は見送り。

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沸いてきたら火を止め、蓋をして蒸らします。蓋をしないと香りが揮発していくので注意。そのまま粗熱をとり、冷蔵庫で一晩。

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濾したものがこちらです。

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炭酸水で割って飲みます。シンプルな配合ですが結構クラフトコーラです。ただし、甘みがほとんどショ糖単独なので、甘みのアタックは弱く、後味もさっぱりしています。でも、これはこれでいい感じ。

グラニュー糖は淡白で上品な甘さですが、三温糖はややコクがある、という具合に甘みは砂糖の種類によって感じ方が違います。ここに果糖を加えると甘みのアタックが強くなり、ブドウ糖を混ぜると余韻が長くなります。このあたりの先味、中味、後味を計算しつつ、レシピを組み立てるのもクラフトコーラの楽しいところ。ちなみに、人間が微妙な甘味の味質を感じ分けるメカニズムはまだ完全には解明されておらず(かなりの部分がわかっていますが)面白い部分です。

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さて、濾したスパイスがらですが、同量の水と砂糖(それに酸味)を加えて煮るとかなり香りが出るのがわかります。スパイスの香り成分の大部分は水に溶けにくいからです。二番出汁ならぬ二番クラフトコーラは一番と比べるとややスパイスのエグみや苦味が強めですが、悪くない味です。

ちなみに一般的なコーラにも微量なエタノールが含まれている例があるそう。エタノールは香料の溶媒として使うからですが、水に溶けにくい香り成分もエタノールをかませると効率的に水に溶かせるわけです。そう考えるとスパイス類は一度ウォッカに漬け込んでから、煮出したほうが使用量を減らせる=コストを下げられるかもしれません。

実はカラメル入れた配合でも色々試作したんですが、カラメル入れんでもいいのでは、と思うに至ったのは料理家の今井真実さんが発表している「完熟梅のスパイス砂糖漬け」のレシピを読んだから。確かにシナモン、カルダモン、クローブでクラフトコーラっぽさが出ています。酸味は梅が担当している、というわけで、なるほどコーラ=黒にこだわらなくてもいいのでは、と気づいた次第。コーラは自由でいいのです。

フランスのオーベルニュ地方にはゲンチアナ(リンドウ)で風味づけしたオーベルニュコーラというのがあるそうで、苦味が効いた味だそう。これも気になります。今回は基本的な配合をnoteに載せましたが、手作りコーラの道は色々と試せる部分があり、たしかにその点もクラフトっぽくて楽しいですね。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!