樋口直哉の食日記10月第1週
10月某日、焼肉店と肉ブーム
前回の話の続き。2000年代に入るとBSE騒動も落ち着き、日本の消費者は牛肉に帰ってきた。いわゆる『赤身肉ブーム』の到来である。熟成肉という言葉が認知されたのもこの頃。
牛肉の消費量は統計上、まだBSE以前の消費量までは回復していないが、今後も伸びていくだろう。牛肉の消費量が大きく伸びたのは1991年、輸入自由化がきっかけだった。これを契機に輸入牛肉の消費が増加。2018年10月に行われた日米交渉でも牛肉の関税が議題に上がったが、日本が車を輸出し、アメリカの牛肉を受け入れる構図は変わらないと思われるので、牛肉の消費は今後も伸びていく、と考えるのが自然だ。
牛肉が人に好まれるのはごく自然で寿司で食べるマグロやサーモンもそうだが、『旨味』と『脂』という二つの要素を併せ持つ希有な食材だからだ。牛肉はとくにその味の良さがわかりやすいのだと思う。
じつは焼肉店にはほとんど行かないのだが、人に誘われればもちろん行く。この店がおいしいとか、そうではないとか、僕が言っても仕方がないし、興味も特にないけれど、人気のお店にはやはり理由があって、いつも感心する。例えば阿佐ヶ谷の某人気店に行った時もそうだ。
こういった人気店は普通の焼肉点となにが違うのか。答えは多分、簡単で和牛でありながらサシが少ない肉を選んでいるのだ。
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