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料理好きのための21世紀料理教室

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低温調理、エスプーマをはじめアルギン酸のカプセルなどの分子料理のテクニックを解説していきます
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2021年5月の記事一覧

右と左で温度が違う『Hot and Iced Tea』

先週、ご紹介した上下の温度差を味わうスープ。 今回は左右の温度差でインパクトを狙います。イギリスで最も有名なシェフ、ヘストン・ブルメンタールが開発したテクニックで、Fat Duckではデザート前の口直し的に(英語で言うところのpalette cleanser)提供されています。 問題は材料の入手。このテクニックにはジェラン(type F)という熱耐性があり、凝固力も強いゲル化剤を使いますが、ジェランはそこらへんのスーパーでは手にはいりません。(ジェランの使い方もそのうち紹

グリーンピースの温冷スープの作り方

エル・ブジが開発したHot and coldのテクニックです。懐かしい感じが出てきた今こそ、使うタイミングか、と思います。 冷凍グリーンピース 120g 水         300ml 塩         2g ミントの葉     3枚(Opition) 本家のレシピも冷凍グリーンピースを使ったものです。違う点はミントの量が少ないこと。また、オリジナルバージョンには冷たい部分にだけミントの風味をつけていますが、今回は同じスープを温冷にわけています。 冷凍グリーンピースで

出汁のとり方、もう一度復習〜鰹節編〜

昨日の続きです。 さて、昆布だしが引けました。この段階で味見をしてもいいのですが、合わせ出汁にするので、確認程度でいいでしょう。さて、今日は鰹節の話をしてきます。 鰹節はやはり日本料理を代表する味覚で、うま味のもとはイノシン酸と脂肪です。今回はこのあたりについて考えてきましょうか。 鰹節もまたものによって味が異なる合わせ出汁に鰹節を入れる量は人によって大きく変わります。よく「お店の人はぜいたく鰹節を使い……」みたいなことを言う人がいますが、はっきり言って人によりけり、で

出汁のとり方、もう一度復習〜昆布編〜

基本のレシピ、出汁のとり方を復習します。出汁とは「水溶性の旨みや香り成分を水分に抽出したもの」です。様々な食材から出汁は抽出できますが、現在の和食で用いる一般的な素材は昆布と鰹節です。 昆布の種類によって味わいが異なる まずは昆布の話から。水1リットルに対して昆布の量は10g(1%)が家庭的な量とされていますが、昆布の種類によって旨み成分の量は大きく変わってきます。 (うま味インフォメーションセンター webページより引用) 単純にグルタミン酸ナトリウム量でいえば関西で

リコッタチーズのニョッキ〈ヌーディ〉

ヌーディは昔、Jamie Oliverが作っているのをテレビ番組で見て、一度、試してみたかったレシピです。ラビオリヌーディというとラビオリの中身を使った料理で、ほうれん草、リコッタチーズ、卵、ナツメグなんかを混ぜ合わせて種をつくり、それに小麦粉をまぶして茹でたものを指しますが、ジェイミーはリコッタチーズにパルメザンチーズ、レモンの皮を混ぜて種を作り、そこにセモリナ粉をまぶして茹でていました。ようはリコッタチーズの水分を使ってセモリナ粉の皮をつくる、というわけ。これは面白い。