マガジンのカバー画像

料理好きのための21世紀料理教室

201
低温調理、エスプーマをはじめアルギン酸のカプセルなどの分子料理のテクニックを解説していきます
運営しているクリエイター

2018年3月の記事一覧

最新調理テクニック紹介『トランスグルタミナ ーゼを使ったロールサーモン』

以前『トランスグルタミナーゼを使った成形 ローストビーフ』では肉の結着をご紹介しましたが、今回は魚篇です。 切り身があるけれど「ちょっと薄くてボリュームがないなぁ」という時はあるのでは ないでしょうか。薄い切り身を焼くと火が通り過ぎてしまいます。そんな時に使うテクニックです。今日は刺身用のサーモンを使って いますが、基本的にどんな切り身でも同じようにロール状に成形することができま す。 注意点は肉の場合と同様に細菌対策です。すでに掲載している以下の記事を参考にしてください

ティラミスの作り方

ティラミスはイタリア料理の定番デザート。オリジナルを考えだしたのは トレヴィーゾの有名リストランテ、レ・ベッケリーエとされています。(異論もあるようなのですが、とりあえず一番有力とされる説です)ワシントン・ポストの記事には信頼性のある話として「子供が生まれた女性(とその子供)に元気をつけるために考案した」という風に書かれています。店で出されたの は1970年代のはじめのこと。歴史のない新しいデザートがあっという間に世界に広まったのですからすごいものです。 ところでレ・ベッケ

オブラートを使ったテクニック〈透明ラビオリ〉

最新調理テクニック紹介シリーズ。エルブジのシェフ、フェランアドリアが日本から吸収した素材は柚子、寒天、そしてオブラートでしょう。一時期のエルブジのメニューにはオブラートを使った料理が並びました。今回はオブラートの基本的な使い方の一つ〈透明ラビオリ〉です。 オブラートは数種類のデンプンを水で糊状にし、シートに伸ばして170℃で熱したもの。アメリカなどでは「Edible Paper Obulato」という名前で流通しています。食べられる紙というのが面白いですよね。 オブラート

柑橘類の薄皮を酵素で除去する

柑橘類の薄皮、いわゆる瓤嚢(じょうのう)を除去する際、工場では塩酸と水酸化ナトリウムを使いますが、モダニストキュイジーヌのテクニックではペクチナーゼを使います。 ペクチナーゼはペクチンを分解する酵素の総称。一般的には細菌から抽出するか、回収したものです。コスト的に考えると大規模での使用は難しいですが、キッチンで使う分には手軽です。写真のペクチナーゼはモダニストパントリーから購入したものですが、ペクチナーゼ自体は日本でも粉末状の製品が比較的、簡単に入手できます。 さっそく試

圧力鍋を使ったテクニック『カラメルニンジンのポタージュ』

最新調理テクニック紹介でとりあげた『カラメル化』の応用編です。圧力鍋を使ってカラメル化させたニンジンでポタージュを作ります。 カラメル化させたニンジンのポタージュ  ニンジン   500g  バター     80g  塩       4g   重曹      2.5g  ニンジンジュース 300cc  オプション ギリシャヨーグルト バジル        生姜のみじんぎり 花山椒 茹で野菜 レシピの元ネタは『modernist cuisine』の『カラメル化したニンジンの

焼きリンゴの応用~ピンクペッパー風味のリンゴのソテー~

先日、「焼きリンゴ」を2種類つくりました。今回はその応用編。レシピのオリジナルは三ツ星シェフ、アラン・パッサール氏の「干しぶどうのコンフィとリンゴ、ラム酒風味」。このレシピの最大のポイントはプロならではの風味の組み合わせです。 リンゴは加熱時間が長くなると食感がなくなっていきますが、フライパンで短時間に焼き上げる調理法だと歯ごたえが残って、また別の味わいが生まれます。 リンゴのソテー、ピンクペッパー風味 一皿分 りんご 1個 有塩バター 15g グラニュー糖 大さじ1 干

圧力鍋を使ったカラメル化テクニック『カラメル・カボチャのピュレ』

最新調理テクニック紹介のシリーズです。今回のテーマは『圧力鍋を使ったカラメル化』2011年に刊行された大著「Modernist Cuisine」に掲載されている技法で、はじめに書いておきますが難しいです。こんな調理法もあるのか、という参考程度に。 注意 この調理法では圧力鍋を使っていますが、これはメーカーが推奨する使用法ではありません。今回、圧力鍋にバターをたくさん入れていますが、例えばそれが跳ねて空気弁が詰まってしまうと、内部の圧力はどんどん上昇してしまい(もちろん安全装