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6.前を向けた瞬間

宣告された翌日は旦那さんも休みを取っていた。

旦那さんと離れられないほど精神的に不安定だった。
おそらく旦那さんも同じだった。
寝る前は何かに吸い込まれそうな精神になり、消えてしまいそうで怖い。
と泣きながら旦那さんにすがった。

何も浮かばず公園へ行った。
公園にいるときは少し楽だった。
きっと普通の家族に見えると思えたからだと思う。

トイレ以外は片時も離れなかった。
実家だったけど構わず家族3人でお風呂にまで入った。
そのぐらい1人になることが怖かった。

翌日は金曜だったけど旦那さんは休んだ。
「幸せな家族」みたいなことをしたくて。
現実を忘れたくて。
ドライブへ行った。

鎌倉へ行ってみた。
忘れていたお礼参りもした。
平日で空いていて天気がよかった。

カフェに立ち寄った。
そこで娘が始めてちゅーをしてくれた。
なんだか幸せで。
幸せすぎて。
2人で笑いながら泣いた。

こういう日々がなくなってしまうかもしれない。 
当たり前の日々をもっと当たり前に過ごしたい。
そう思った。

夕方から江ノ島水族館へも行った。
娘も小さいし夕方からなんて普通なら考えないけど、思い切り現実を忘れたかった。
案の定娘はほとんど昼寝だったけど十分な気分転換になった。

夕方になってもまだまだ暑くて。
水族館は半端にしか見れなかったけど、また来たいね。と不思議と先のことを言える心境にもなった。

暗くなり夕飯を食べた。
海の目の前にあるカフェ。
臨月のときにも訪れてた。

いろんなことが走馬灯のように蘇る。

長い昼寝から娘が起きなかったので。ゆっくり2人でご飯を食べた。
幸せだね。
と言葉にするたびに泣いてばかりいた数日。
怖くてたまらなくて泣いてばかりいた数日。

突然

もう嫌だ。
と思った。

「がん」だかなんだか知らないけど。
どうなるかわからないけど。
メソメソしたくない。
こんなの嫌だ。
絶対に負けたくない。
こんなの私らしくない。

数日間泣き伏せてた効果なのかわからないけど。
突然そう思った。

負けないぞ!
と言葉にしてみた。
少し力が湧く。

旦那さんと2人で、夜の海に叫んでみた。


絶対負けないぞー!
またハワイにいくぞー!
こんな事で負けないぞ!!


思いつくことを叫んでみた。

いい年した大人だけど。
ドラマみたいな事が起きたのだから、ドラマみたいな事をしてもいいじゃないか。

心に不安はあるものの、どん底の日々が少し上向いた気がした。


この時一緒になって悲しみ、恐怖と不安を感じていたと思われる旦那さん。

どうなってしまうか分からない私。

私が居なくなるかもしれない旦那さん。

2人でどん底に居た数日間。
辛かったけど、同時に1人じゃないと感じた。
私の感情全てを一緒になって受け入れてくれる気がした。
一緒に落ち込むことは賛否あるかもしれない。

泥の中にいるように過ごした数日間だったけど。一緒に泥の中に居てくれて私は救われたし一生忘れられない気がする。




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