デブを自己責任と責められなくなった話

つい最近、ストレスが積み重なったことで身長177cm、体重65kgから、体重71kgまで急速に太ってしまった。
私は学生時代から運動をほとんどしないタイプだったので、脂肪はすべて腹にきてショックを受けたことはよく覚えている。

それでも、元がBMI20.75と、この身長から言えば不健康な意味での痩せだったので、70kgを超えたこと自体は好ましいことではあった。(BMI22.68なので、そうはいってもBMIの数値的には高々25未満である)
不健康な太り方なので、実際は喜んでしまうのは、まあ愚かだっただろうことも追記しておく。

しかしながら、体重70kgを超えてから起きたある変化に驚愕するとともに、肥満への恐怖を強く感じてしまった。

以下にその変化を記しておきたい。

食欲が慢性的になり、それを止められない

以前は間食などなくともさして問題にならなかったのに、1日3食の量自体が大幅に増えた上に、間食を取り続けないと空腹感に耐えられないのだ。

ジムで90分ほどの運動をしても、消費カロリー以上に食べることをどうにも止められなかった。
(ボディビルダーの食事制限がいかに常人には困難か、まで思い知った)

かといって何もせず引きこもっていても、食べる量は一定以下にはなってくれなかった。
就寝前の空腹に耐えきれずに布団から飛び出して、夜食を平らげた日など数えたくもない。

食に無頓着気味なはずの自分ですらも、食欲に抗い難い、という明快な事実も私を傷つけるには十分だった。

ここ何日か引きこもって、飯を食うことも忘れ、夜通しで一心にスマブラSPタイマンを遊び続けるという、私らしい学者肌的な不健康さを発揮することで、体重67kg以下まで戻ってきたし、旺盛になった食欲もコントロールできる範囲に落ち着いた。

食欲にも依存性はある

この経験から、私の中のある考察は、確信すべき不変の真理へと至った。

すなわち、肥満の方は自堕落などではなく、「慢性的食欲依存症」と言うべき状況に陥っているのだ、という考察だ。
医学的な意味での依存症ではないだろうが、依存症の如く対象への欲求をコントロールできず、欲求を満たすことに傾倒してしまい、そのせいで対象への欲求をさらにコントロールできなくなる、という点では依存症と名付けるべきだろう。

私には、身長175cm程度であるにも関わらず、現在の体重110kgオーバーの友人がいる。
同じ高校、大学に通った仲だが、大学入学時の彼の体重は、空手やバスケの経験があることもあって、70±2kgぐらいの、肥満とは程遠い好青年であった。

しかし、彼がアルバイトを始めてから急激に体重を増やし、2年生になるころには体重95kgを超えるほどになってしまった。
現在は掛かり付けの医者からも、体重130kgを超えるようなら命の危険がある、とすら警告されたらしいものの、体重が減ることはなさそうだ。

私の素人意見を挙げるならば、彼が自力で痩せるのはまず不可能だろう。
私ですら体重がたったの5kg程度増えただけで、食欲を抑えるのが困難だったのだ。
あそこまで行くと、重度のアルコール依存症や麻薬常習者を治療するときのように、支援者や適切な治療が必要となるだろう。

もはや胃を切除する手術の上に、脂肪吸引を施さなければ「食欲依存症」を治療するに至れない。
さもなければ、半端な治療によるリスクが常に彼に付きまとうことだろう。

肥満はギャンブル依存症やアルコール依存症のように、然るべき治療の必要性を訴えるべきである

総括すると、上記の主張と相成る。

陳腐なテレビ番組では奇跡的なダイエット例を持て囃し、インターネット上であっても、肥満は自助努力でどうにかなるし、みじめで自己管理を怠る者の象徴であるとされる。

はっきり言って、おおよそのヒトにとって、欲望をコントロールするのは至難の業である。
それを為せという論調は、いささか信仰者が自身の無謬性への信頼感が高すぎるように思える。

実際には、食欲はおろか、性欲程度ですら抑制しきれないのが人の性だ。
買い物依存症やギャンブル依存症のように、食欲にも依存症の概念が適応され、決して怠惰によってのみ肥満になるわけではないことが認知されてほしい。

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