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月の科学(陸)

天体としての『月』は太陽系の他の衛星と比べると、ありふれたものかもしれません。
そんな『月』について、少し掘り下げてみましょう。

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』の note で取り上げましたが、今回は『月の陸(=高地)』についてです。

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月を見上げると、白く光る部分と、黒っぽく光る部分があることがわかると思います。
この白く光る部分を『月の陸(=高地)』と呼びます。
(かつては『陸』と呼んでいましたが、今は『高地』と呼ぶのが一般的です)

『月の科学(海)』の note で取り上げましたが、『海』があるので『陸(=高地)』と呼ばれています。
月の誕生や海の形成過程の結果、残った部分が『高地』なのです。
(月の誕生については、長くなるので、別の機会にいたしましょう。)

月の誕生直後は溶けてて巨大なマグマの海ができていました。
このマグマの海が冷えるにつれて、いろいろな鉱物が結晶していきますが、軽くて白っぽい斜長石の結晶は表面に浮かび、重くて黒っぽい輝石やかんらん石の結晶は底の方に沈みました。
結果、月の高地はこのようにして出来た白っぽい斜長石で覆われいているため白っぽく見えるのです。

月の表面は誕生からずっと、大小様々な微惑星などの衝突にさらされています。
これらの衝突は地表の岩石を粉砕し、粉々にしてしまいます。
また、月には水や空気がないため、風化による劣化はなく、粉砕された砂(=レゴリス)は砕けたままであり、ガラスのように鋭利です。
結果として、月の表面は数cmから数10mの厚さにわたって火山灰のような非常に細かいガラス質のレゴリスに覆われているのです。

このレゴリスですが、アポロ計画の際にはその性質のため
 ・宇宙服やローバーに静電気を帯てまとわりつき、故障の原因となる
 ・宇宙服に付着したレゴリスが宇宙船内で舞うことで飛行士がそれを吸い込み健康被害を起こす
 ・付着したレゴリスを払う際に表面の塗装や表面を傷つける
など、厄介なものでした。

しかし、レゴリスには多くの酸素原子が含まれており、酸素の供給源や建築材料としても期待されています。
太陽風によって運ばれた水素やヘリウム3なども含まれているため、核融合の燃料にもなると期待されています。

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