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強風、儀式、読めぬ文字

だいぶ間が空いてしまったけれど、イースター島見物記の続編です!
今日は、オロンゴ儀式村の話が中心の記事になりまっす。

過去記事のリンクも貼っておきますぞ↓

     

宿の皆さんと一緒に見学したときの話に、時折ガイドの最上さんに聞いた話も混ぜながら書きますぞ。

―――

4時頃起き、5時頃に宿を出てアフ・トンガリキへ。
ご来光を見たかったのだけれど、残念ながら雨…。
レンタカーを返すお昼の時間まで、まだ見きれていなかった島の西南の方を見学することにした。

※ちょっと脱線するけど、最上さんいわく、島の天気は非常に変わりやすいので傘を使う人は少なくて、岩陰で雨宿りをするのが一般的なんだって。

まずはアフ・アキビ

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(天気が悪い…)

以前、別の記事で書いた通り、モアイは部族を見守る存在だったので村側を見て立っているのが普通なのだけれど、これらのモアイだけ海の方を見つめているんだって。

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不思議…。

続いて、プナ・パウ
モアイの頭の上に載ってる髷の、赤い石が切り出された場所。

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こいつは赤い…。
私がイースター島の住民でも、これを像に使いたくなることだろう…。

さて、ここからが本日の記事のメイン、オロンゴ儀式村周辺だよ!

まだモアイ像造りが盛んだった頃に、ここでオロンゴの鳥人儀礼と呼ばれる宗教的な儀式が始まった。毎年9月に開催された儀式は、次のような内容だ。各部族から選出された10人ほどの参加者は、オロンゴの儀式村から約280m下の海岸まで降り、そこから沖に浮かぶ3つの島のうち最も遠いモトゥ・ヌイまで葦の浮きを手にして約1500m泳ぐ。そこで、マヌ・タラと呼ばれる渡り鳥(アジサシ)の最初の卵を取り、額に巻き付けて再び泳いで戻ってくる。卵を最初に部族の主張に渡した人が勝者で、渡された部族の首長は神の化身タンガタ・マヌ(鳥人間)になる。タンガタ・マヌになった首長は重要なアフの近くに住み、それから1年間、外に出ることも、髪や爪を切ることもなかったという。そうすることで、神に仕える者として崇拝されたのである。

鳥人儀礼が開始されると、参加者は島に渡り、鳥が卵を産み落とすのを辛抱強く待ち続けた。モトゥ・ヌイまでは流れも速く、サメもたくさんいるため、途中で命を落とす者も多かったという。オロンゴの儀式村では岩屋の中で部族の首長やロンゴ・ロンゴ(けそ注:イースター島の象形文字)を読む専門家、参加者の親族などが帰りを待った。
『世界遺産 イースター島完全ガイド』より引用


オロンゴ儀式村は、国立公園の1枚のチケットで1回しか入れないので注意。
ぐるっと見るのに30分くらいはかかるから、あんまりギリギリな時間設定はおすすめしない…(経験者談)

最上さんのツアーではオロンゴ儀式村へは行かなかったのだけど、気になっていたことはいくつか質問できたので、記録しておく。

私:
卵を取ってきた人が首長になるとかじゃないんですね。こんなに大変な思いをして取ってくるのに…。卵を取ってきた人には、何か得になることがあったんでしょうか。地位が上がるとか…。

最上さん:
地位が上がったりすることも…なかったですね。
その一族の間でほめられる、誉れとなる、というだけですね。
儀式で2位以下として戻ってきた人は食べられてしまったという説もあります。

私:
(1位になってもほめられるだけ、2位以下は食べられちゃうかもしれない儀式って…参加する人のデメリットが多すぎんか…!)

なんで、人を食べるということをしていたんでしょうか?

最上さん:
食糧難だったことが一番大きいですが、食べた人の力を取り入れるという宗教的な意味合いもあったようですね。
島民は、「(近所の)あの人の先祖、うちの一族が食べちゃったからねえ、はっはっは」みたいなジョークを言うことがあるんですが、あながちただのジョークではないと思われます。

私:
(すんごいブラックじゃん…!)

では、実際の様子を見てみましょう!

オロンゴ儀式村方面で、最初にたどりつくのが「ラノ・カウ展望台」。

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私の写真力のなさからまったく伝わらないんですが、『世界遺産 イースター島完全ガイド』によればこの湖は直径1.6km、湖面までは200mあるとのこと。近くでみると圧倒される。

そのあと、博物館みたいなゾーンを抜けて(レンタカー返却まで時間がなく、さっくりとしか読めなかった…)オロンゴ儀式村の見学。

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復元された住居跡。
最上さんによれば、普段住民はもっと便利な場所に住んでいて(このあたりは風も強くて長居に向かない感もりもり)、村の有力者500人くらいだけが、儀式の期間に限ってここに入れた、とのこと。女性は入れなかったらしい。

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儀式では、たぶんあの島まで泳いでいったんだろうな…。
私だったら海までたどり着くこともできぬであろう…。

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Kさんと一生懸命探した石。

よーく見ると…

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彫刻されている!

『世界遺産 イースター島完全ガイド』によれば、描かれているのは鳥人間(タンガタ・マヌ)や、アクアクという神様とのこと。

ハンガロア村の中にも、これらの彫刻を模したと思われる車止め(?)があって、かわいいんじゃよ…。

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あ、前述した、イースター島の文字、「ロンゴ・ロンゴ」の話にもちょっと触れておきましょう。

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この、文字が記されている木板を「コハウ・ロンゴ・ロンゴ」っていうそうです。魚の形のは「イカ」っていうんだって。かわいい。

かつて、ロンゴ・ロンゴの専門家たちにより記録されたものだが、残念ながら文字の意味は解明されていない。イースター島苦難の時代に読み解ける人が死に絶え、キリスト教に改宗後は異教徒の文字としてほとんど燃やされてしまったからだ。現在、世界各地の博物館に合わせて28個のみが残っている。
『世界遺産 イースター島完全ガイド』より引用

最上さんいわく、サンプルが28個しかなくて文字を比較してみることが難しいので、解読できないそう。最近オークションに出されたコハウ・ロンゴ・ロンゴには3億円の値がついたんだって!(しかし実際に落札されたかは不明とのこと)。また、イースター島にはコハウ・ロンゴ・ロンゴの本物はないらしい。博物館にあるのは全部レプリカとのこと。

イースター島の博物館で知った情報についても、付けくわえておく。
・ロンゴ・ロンゴは、1行ごとに
 文字が上下逆さに記されている。
 (1行読んだら、
  180度板をひっくり返して次の行を読む)
 古代ラテン語と同様、
 「雄牛を使って畑を耕す様子を
  連想させる」往復読術法を使って
 読むものと考えられている。
・歌や伝統や家畜を記録するために用いられていたらしい。
・ロンゴ・ロンゴは表意文字なので、
 音読することはできない。
・現在、基本的な文字として
 120文字が確認されている。
 組み合わせによって、
 1200の複合文字が構成される。

さらに「ちなみに」。最上さんいわく、現在、島民のうちキリスト教徒の人は70%くらい、でも熱心に教会に行く人は限られている、とのこと。

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イースター島の教会のデザイン、すごく好き~。
ミサ見たかったなー(独特の音楽も聴けるらしいのです)。

イースター島遺跡見学の話は今回で終わり~。
次回は、ぬるぬるの村見学の話と、最上さんにお伺いした話でまだ書けてないところなんかを書く予定!です!


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