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衝突を分解する

この間、恋人にイライラすることがあって続々とLINEを送ったところ、画面に吹き出しがぼんぼんぼ〜んと並んで、その圧迫感に自分がびっくりした。

その上最後には、
「このままじゃ、やっていくの無理だわ」と
別れをほのめかす徹底ぶり。

※ちなみに、微塵も思ってないことは書かないので、嘘ではない。そのときの私の100%真実な気持ち。

当然、返信は来ない。

「その程度で鎖国しちゃうの?私と向き合う気、あるの?」と思う一方、
「繊細な心の持ち主だって知っているのに、ひどいことをしてしまったなあ…ストレスで眠れなくなってしまっていたら申し訳ないなあ…」と、すぐにモヤモヤもした。

それで、「とりあえず、やり口が意地悪だったのは間違いないから、そのことについては謝らなくちゃ。その上で、話をしよう」と恋人宅を突撃することにしたのだけど。

電車に乗りながら、私はもう一度びっくりした。


私、今日は、大人だ。

と。
(いや、最近、こうしたことについては
大人になれる日が増えてきたのか?
と。)

昔の私だったら、相手が誰でも、どんな状況でも、「そもそもあっちが悪いじゃん」と自分に必死で言い聞かせて、絶対に謝ったりしなかった。悪者は一人にしたかった(もちろん、なるべく、私じゃなくて相手が悪者であってほしい)。「ここは私が悪くて、ここは相手が悪かったと私は思ってる」なんて、分解することはできなかった。

でも最近ようやく、そうやって考えることができるようになったのだ。

「そうそう、いつだって、どっちとも悪いところあるよね!喧嘩両成敗!このことは、なかったことにしよう!解散!」


いや、それは、違います。

「いつだって二人とも悪い!(だから、深入りしない!分析しない!)」は、「悪いのは100%相手!」と同じで、思考停止、じゃないかなあ。

どういう言葉が悲しかったのか。
どういう態度に腹が立ったのか。

そういうことを丁寧に相手に伝えれば、
「それでも譲れない」なり、
「それはもうしないようにする」なり、
今後の出方を相手が検討するための
材料になるから、
少しでも前に進めると思う。

これを繰り返していけば関係が少しずつカスタマイズされていって、もっとお互いに「かけがえのない人」になれると私は信じている。
(それで離れることになっても、やっぱり前進だと私は思う。)


私にとって一番悲しいのは、推測だけで「相手が悪い」「私が悪い」「二人とも悪い」って決めつけて、結局対話を放棄してしまうこと。

だって、それらは全部「自分の外には出ません宣言」で、そんな態度でいるのなら、
二人でいる意味、ないじゃないか。


…なんてことを考えながら向こうの家に着くと、なぜか恋人はへらへらと笑っていた。私は一瞬むっとしたけど、その後、どうしようもなく愛しい気持ちになってしまった。だから、かわいいやり方じゃなかったけど、謝ることができた。

その後恋人は、私が送ったたくさんの吹き出し、一つ一つに「こう言われたのはショックだった」「これについてはごめん」と、口頭でコメントしてくれた。


私は、やっぱりこの人のことがとても好きだなあ、と、しみじみ思った。

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