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セパタクロー熱中時代。vol.9

2014年、仁川アジア大会。この大会では3種目が実施された。2人制のダブル、3人制のレグ、団体戦のチームレグ。日本はダブルとチームレグにエントリーした。

大本命のチームレグに先立っておこなわれたダブルで、日本は大接戦を制して銅メダルを獲得した。これが弾みになるはずだった。

4年前の広州アジア大会のチームレグで史上初となる銅メダルを獲得したとき、関係者は密かに期待した。これで注目が集まって、少しでも環境が改善されるのではないか、と。

しかし、期待したような大きな変化はなかった。

彼らは悟った。銅メダルでは足りない。日本でセパタクローが注目を集めるにはもっと大きな戦果が必要だ。そう決意して過ごしてきた4年だった。

結果はグループリーグ敗退だった。

1年と少しの間だったけれど、彼らのセパタクローにかける想いの一端を見てきたからこそ、敗退直後の彼らに声をかけるのは躊躇われた。しかし、思い切って声をかけることにした。

「おつかれさまでした」

短い労いの言葉と力のない握手を交わす。うつむいたままで視線が合わせない選手もいた。僕の視線も徐々に下がっていく。そんな中、手を強く握り返してくる選手がいた。

彼はセパタクローの知識がない僕の初歩的な質問にも親切に答えてくれていた男だった。ハッとした次の瞬間、彼は僕の胸に頭を押しつけて、消え入りそうな声で言った。

「すみませんでした」

嗚咽を漏らす彼にかけられる言葉はなく、肩を叩くことしかできなかった。

僕は彼らの何を見てきたのだろう。
何を撮ってきたのだろう。
なぜ一緒に泣くことができなかったのだろう。

色々な想いが脳裏をよぎった。

4年後、どんな結果になろうとも、彼らと気持ちを分かち合えるようになりたい。

そう思った。

(続く)

TPW_20140921_0328のコピー

※写真はチームレグでグループリーグ敗退となった日本代表(上)とダブルで銅メダルを獲得した高野征也(右)と寺本進(左)。

SPOAL「セパタクロー熱中時代。」を一部加筆修正して転載>

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フリーカメラマン。主にスポーツを撮る人。ライフワークでセパタクロー日本代表を追いかけています。フォロー大歓迎です。オンラインサロンはじめました^^ https://bit.ly/2ZRcqRA 📩takasutsutomuonline@gmail.com

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