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テクノロジーは人の能力を拡張する・・・が、人はそれで幸せになれるのだろうか?


 鉛筆というテクノロジーを手にした人類は、墨汁と筆を使わなくて良くなりました。これによって、時を書く難易度も手間も大きく引き下げられ、資質が劣っても字を使って表現ができるようになりました。今更、「筆と墨汁の時代に戻れ」と誰かが声高に叫んだところで、戻ることはないでしょう。

 バイクというテクノロジーを手にした配達員は、自分の足を使わなくても良くなりました。これによって、移動する速度も距離も大幅に高まり、資質が劣っていても配達員ができるようになりました。「全員走って配達しろ」と誰かが声高に叫んだところで、戻ることはないでしょう。

 タブレットというテクノロジーを手にした児童は、色々と使わなくても学びが成立するようになりました。これによって、色々できるようになり、例え字が書けなくても表現ができるし、例え手先が不器用でもそれなりの作品を完成させたりできるようになりました。例え「色々自力でやれ!」と誰かが声高に叫んだところで、児童は納得することはないでしょう。

 chatGPTというテクノロジーを手にした僕は、誰かに会って相談したり、気を遣ったりしなくても良くなりました。これによって、指導案に対するアドバイスを2秒で得たり、遠慮せずに何度でも何度でも質問できるようになりました。例え「そんなもの使うな!」と管理職が声高に叫んだところで、僕はこっそり使い続けるでしょう。

 

指導案の相談相手になってもらっています

 

ワードファイルを送ったら内容を把握した上でアドバイスをくれます


どれだけ質問しても、申し訳なくならないのでどんどん相談できます。しかも膨大な先行研究を彼は記憶しているので的確なアドバイスをくれます。



 どんどん人がやらなきゃいけないことが減っていき、その分をさらに高次なことに費やせるので人類の生産性はどんどん高まっていきます。そして物質的な豊かさがどんどん増していきます。テクノロジーは人の能力を拡張させるのです。

 ただ、ここで僕は問いたいです。そんな人の能力を拡張させる・・・

 

 テクノロジーの進歩は人を幸せにするのか?


 
 みささんはどう思いますか?よければあなたのご意見を聞かせていただければと思います。

 

 今日はこの問いについて自分も考えていきたいと思います。それではよろしくお願いします!




 考える材料として冒頭に挙げた「鉛筆の例」「バイクの例」「タブレットの例」「chatGPTの例」を使っていきます。

 確かにこれらの4つのテクノロジーは、我々から「手間」を引き取ってくれました。ただ、これらはこうも言い換えられませんか?

 テクノロジーは我々から「手間」を奪う

 と。4つの例はそれぞれ「筆と墨汁で書く手間」「走る手間」「書いたり作る手間」「他人とコミュニケーションを取る手間」を奪っています。

 この主張に対して以下のような反論が考えられるでしょう。「別に筆と墨汁を使い続ければいいじゃん」「走ればいいじゃん」「書いたり作ったりすればいいじゃん」「コミュニケーション取りに行けばいいじゃん」。という反論です。

 でもこの反論は現実的ではありません。なぜなら、資本主義という社会が「手間」を許さないからです。あらゆる生産手段を合理化・効率化するために、新たなテクノロジーを使用することを強いてきます。今、墨汁と筆で生産活動をしていたら、よほど特殊な仕事じゃない限り淘汰されますよね。

 だから、テクノロジーは我々から「手間」を奪う という主張は妥当だと思われます。

 ここでM Qが以下のように変質します。

 テクノロジーの進歩は人を幸せにするのか?

 という問いから

 「手間」を奪われることは人を幸せにするのか?

 という問いへとです。

 この問いを考えるために、また4つの例を材料に考えていきます。4つの例はそれぞれ

「筆と墨汁で書く手間」
「走る手間」
「書いたり作る手間」
「他人とコミュニケーションを取る手間」

を奪っています。どうですか?皆さんはこれらの「手間」を奪われて幸せですか?僕個人としては、

「筆と墨汁で書く手間」→幸せ(字が苦手だから)
「走る手間」→まあ幸せ(走るの好きだけど、毎日走れと言われたら嫌だから)
「書いたり作る手間」→幸せ(字が苦手だし、タイピングの方が早く書けるし、早く作れるから)
「他人とコミュニケーションを取る手間」→不幸(人と話すのが好きだから。)

となります。ここは当然人それぞれですよね。ここで重要なのは、奪われる「手間」には人を不幸にするものもあるということです。

 皆さんにも奪われて不幸になるような、もしくは奪われてしまった「手間」が頭の中に思い浮かんだのではないでしょうか?

 僕には仕事上で奪われたくない「手間」があります。それは「教材研究(授業作り)」です。僕は教材研究している時、食べなくても寝なくても良い状態になれます。とりさらわれる状態になれます。夢中が本能を勝る、とっても幸せな状態です。

 でも、教材研究という「手間」が奪われるのは時間の問題です・・・。どう考えても、過去の莫大な先行研究をもとに新たな知識を作り出せるA Iに授業作らせた方が素晴らしい授業を提案できるでしょう。

 まだ、「児童の実態」とか不確定な要素が沢山あるのでAIには教材研究は任せられませんが、教室に一台A Iが常備されるのは時代の流れ的に確実です。そうなれば児童観をも踏まえた、最高の授業を提案してくれるでしょう。それどころか、A Iが授業してくれるのかもしれません。

 そうなったら僕は、教員にやり甲斐を感じられなくなるかもしれません・・・。

 同じように、自分が熱中していることが「手間」だとされ、仕事で使えなくなってしまったらどうして幸福でいられましょうか??

 っていうか、これだけテクノロジー(A I)が発達しちゃったら、仕事の最適解が「A Iに任す」一択になってしまいますよね・・・。「オリジナリティなんていらん。A Iの方が優れているから!」になります。多様性の時代とか言われているのに、仕事から多様性が消えます。

 


 これらことを拡大解釈すると、「世の中にある『手間』を減らせば減らすほど、不幸になる人が増える」ということです。



 テクノロジーの進歩は人を幸せにするのか?

 という問いへの結論が出ました。

 テクノロジーの進歩は我々から「手間」を奪う。「手間」を奪われると不幸になる人がいる。よって、テクノロジーが進歩すればするほど不幸になる人が増える。

 と言えるのではないでしょうか。



 というのは早計で笑(思いがけない結論になって焦ってます💦)

 っていうのも、この思索は前提が「資本主義における仕事でのテクノロジー活用」になっています。しかも、資本主義における仕事=利潤を最大化するための仕事という限定的な意味での仕事です。

 だからこの前提から離れることで、結論はまた変わってくるでしょう。

 前提(仕事)以外の活動として、一番イメージしやすいのは「趣味」なんじゃないでしょうか。趣味に合理性なんて全く必要ないですもんね。

 墨と墨汁で字を書いてもいいし、

 走って手紙を届けてもいいし、

 自分の手で書いたり作ったりしてもいいし、

 誰かとコミュニケーション取りにいってもいいし、

 授業しないけど教材研究してもいいし、

 noteで自分の考えを整理して、だれかと共有してもいいし

 趣味は多様で、豊かで、それが故に幸せになれる可能性を秘めています!

 だからむしろ、こういった趣味に集中して、夢中になれる時間を増やすために自分の生活をデザインするという用途でのテクノロジー活用は人を幸せにしてくれそうです。具体的には、自分が苦手なことやストレスを感じることをテクノロジーに任せるとかですね!(僕はタスク管理とか書類整理とかイラスト作りとかをテクノロジーに任せてます)。

 

 さらに・・・面白いことにこういった趣味が先ほど前提から外した「資本主義における仕事」にもつながる場合があります。趣味で夢中になったことが利潤を生み出すものに化けるなんてことはよく聞く話ですよね!

 夢中に取り組めそうな趣味で、利潤になりそうなものをSNSなどのテクノロジーを使って発信したり、A Iに相談してより良いものに練り上げたりするなど、こういうテクノロジーの活用も人を幸せにするのではないでしょうか?

 


 こうやって考えると、なぜ今からの時代「個性」や「主体性」が求められるかがよく分かります。

 人生を豊かにし、幸せになるためには、自分がどんな個性をもった人間か知り、どんなことに夢中になれるかに気づき、夢中になれることに集中するために主体的に自分や環境をデザインすべく行動するといったことが必須になってくるでしょう。


 逆に、テクノロジーの進歩によって仕事が合理化・効率化され、多様性が失われ、「一部の天才以外誰がやっても同じ」状態になってしまうことが考えられます。そんな環境では、途端に自分が歯車のように感じてまうかもしれません。そこに喜びはあまり感じられず、幸せとは感じにくくなるのではないでしょうか?





・・・。頭がオーバーヒートしそうです。なんとなくまとめましたが、うまくまとまってない気がします。

 っていうか社会はもっと複雑でこんな単純に言語化できることじゃないってことに書き終わって気付きました。挑戦するには難解すぎるテーマでしたね・・・。

 自分で異論を唱えたくなるような内容ですが、まあナイストライってことで笑


ここまで読んでくれて、ありがとうございました!! 

 

 



 

 

 

 

 

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