見出し画像

『The Culture Map』⑥同僚や顧客との付き合い方の文化

『The Culture Map』/ Erin Meyer

前回の記事:『The Culture Map』⑤集合は何分前がお好き?

ビジネスシーンでの文化の違いへの対処法を学べる本書。文化を相対的に比較することで、異文化だけでなく自文化についても見直すことができるのが面白い。

本書では筆者Erin Meyerによって「文化の違いを測るため8項目」が紹介されている。今回はTrusting(信頼)について。同僚や顧客との付き合い方について考える。

仕事とプライベートを切り離せますか?

本章では職場での人間関係に対する考え方が説明されている。

日本やアジアの国々ではRelationship-basedな人間関係が望まれる傾向にあるという。これは、仕事とプライベートの人間関係を切り離さない考え方。

Relationship-basedな文化圏においては、仕事を進めるために良好な人間関係を構築することがとても大切だという。日本の飲み会文化についても本書で紹介されている。腹を割って話すことによって信頼関係を積み上げ、ビジネスでもその関係が通用する。

一方で欧米ではTask-basedな人間関係が望まれる傾向が強いという。人間関係よりも実績が重視され、仕事とプライベートは分離する。例えば職場の人間とジムやレストランで遭遇しても話しかけることはほとんどない。飲み会文化も存在しない。しかし、仕事は仕事と割り切って公正な人事が行えることやプライベートの時間を確保しやすいというメリットがあるだろう。

画像1

出典
『the Culture Map』本書より Figure 6.1.

Relationship-basedのメリット

日本人にとってTask-basedは一種のあこがれのように語られることが多いように思う。職場での人付き合いを求められないし、えこひいきも少ないんじゃないか・・・それは当たっているかもしれないし、外れているかもしれない。

だけど、Relationship-basedにもちゃんとメリットは存在する。例えば、実績がなくとも良好な人間関係からビジネスが生まれやすい。人の内面を知って興味が沸いたから採用してもらえる「人物重視の採用」もRelationship-basedの賜物ではないだろうかと思う。

また、仕事がなくなっても人間関係は続けられるということも大きなメリットだろう。想像してみてほしい。もし今働いている会社を退職した途端、元同僚が誰も声をかけてくれなくなったらどうだろうか?寂しくないか?かつての職場の仲間とも定期的に食事ができることは、Relationship-basedな信頼関係があるからこそできることだろう。

Relationship-basedのデメリット

そんなRelationship-based文化の印象を大きく損ねているのが、癒着や汚職といった不祥事だろう。

先日、オンライン英会話でタイ人の講師と話す機会があった。彼は自国のRelationship-basedの文化に対して不満があるらしい。

タイ人講師のエピソード
タイは政治の汚職がすごく多いんだ。賄賂が横行したり、友達を出世させる政治家がいたり。これは間違いなくRelationship-basedの文化が影響しているね。君の言う通り、Relationship-basedのメリットももちろんあるとは思うけど、デメリットが多すぎるよ。

タイは日本と比較してもよりRelationship-basedの傾向が強いらしい。あまりにセンシティブな話で深く踏み込むことはできなかった。

何事もバランスが大切というか何というか。きっとこうした問題を解決するために異なる文化を学ぶことに意義があるんだろうと考えさせられた。

お互いの文化を尊重しつつ、学べるものは真似して新しい価値としていく。そうやって最適な文化を作っていけたらなんて綺麗ごとを考えながら今回は終わりにしたい。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?