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『The Culture Map』⑤集合は何分前がお好き?

『The Culture Map』/ Erin Meyer

前回の記事リンク:『The Culture Map』④文化と社内政治

国際ビジネスコンサルタントであるErin Meyerから「文化の違いを測るため8項目」について学ぶことができる本書を項目別に分けて紹介する。

今回は文化の違いのなかでも表面的に目立ちやすいスケジューリングの違いについて。会議や待ち合わせの時間の考え方は文化によって異なる。もし、異なる文化圏への出張で会議に参加することになったら?そんなことをイメージしながら読んでみてほしい。

Linear-time VS Flexible-time

日本はご存じの通り時間に厳格(Linear-time)と言われている。5分前集合という謎の文化があったり、鉄道がほぼ必ず時刻通りに到着したり。好き嫌いはあるだろうが、おおむね皆この文化になじんでいるのではないだろうか。

一方で、時間管理に厳格ではない(Flexible-time)といわれている地域もある。例えばアラブ世界やラテン系の国々では柔軟なスケジューリングが好まれるという。

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出典
『The Culture Map』本書より Figure 8.1.

面白いことに、時間管理方法が異なる文化圏の人々と交流したときにはお互いがお互いのことを非効率に感じるという。

我々日本人のようにLinear-timeの傾向が高い人は、定刻通りに進まないと「時間が奪われている」「時間を無駄にしている」と感じてしまう。一方で、Linear-timeの文化圏の人々はすべてが定刻通りに進むべきという考えに柔軟性が欠けていると感じてしまうという。

異なる時間管理の文化に適応するために

意外かもしれないが、日本人がサウジアラビアに行く、あるいはナイジェリア人がドイツに行くなど極端に異なる時間管理の文化への適応は比較的難しくないと思われる。極端な文化の違いには容易に気づくことができるからだ。

やっかいなのは、むしろ、日本人がドイツに行く場合やアメリカに行くような場合だろう。同じLinear-timeの文化を有している国であっても、そこには微妙な感覚の違いがある。それをとらえるのが難しい。

具体的に言うと、5分前集合が推奨される日本に対して15分前が推奨される国があるかもしれない。あるいは集合時刻ちょうどに到着するのが好ましいと考えられている国もある。この繊細な違いに適応できるかどうかが一つの課題となってくる。

また、大枠では「時間管理に厳しい」と言われている国でも部分部分でルーズだったりする。日本企業は始業時間に対しては厳格なのに終業時間は非常にルーズで残業ばかり、というのは良い例だろう。一方で、本書ではFlexible-time文化での特殊ケースとして中国が挙げられてる。

これに関しては郷に入っては郷に従え的な考えでやっていくしかないのだろう。必要なのはトライアンドエラーであり、何度も繰り返し実践する中で習得していくしかない。

余談:オンライン英会話講師のぼやき

私がいつも利用しているオンライン英会話の講師の中にはFlexible-timeの文化圏に位置する国の方が多い。最も講師数が多いフィリピンはもちろん、マレーシア、タイ、ナイジェリアなどは比較的Flexible-timeの文化圏になる。

彼らに時間管理の概念について聞いてみた。すると、面白いことに、ほとんどの講師が自国の時間管理がもう少し厳格になってくれたらと言っていた。

日本人生徒の講師を務めるためには時間管理に厳しい人でなければ適さないのかもしれない。同じ国の中でも時間管理のとらえ方は異なるということを示す良い例だろう。

日本人でも、日本式の時間管理方法が好きでないと思っている人は一定数いるだろう。ひょっとしたら海外の別の文化圏にチャンスはあるかもしれない。

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