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『スタンフォードの自分を変える教室』①やる力とやらない力を鍛える

面白い本に出会ったので紹介。

『スタンフォードの自分を変える教室』
ケリー・マクゴニガル 著

やりたいと思っていたのに、つい言い訳してできなかったり先延ばしにしてしまうことはきっと誰にでも経験があるはずです。本書は「なぜ意思を貫けないのか」について科学的に詳しく説明しています。

意思を貫けないのは原始的な本能のせい

現代社会を生き抜く上で意志力はとても大切です。共同体で生きていくためには、利己的な行動だけを選択するわけにはいきません。大きな目標に立ち向かうためには、短期的な欲求に打ち勝つことも求められます。

なぜ目の前の誘惑に逆らえないのか?ダイエット中なのにお菓子に手を出してしまったり、勉強中なのにゲームをしてしまったり... その理由の一つが本能であるといいます。

人類は進化の過程で脳を肥大化させてきましたが、脳の中身が完全に変わったわけではありません。野生を生き抜くためのシステムは、今もなおそのまま残っているのです。

野生の厳しい環境を生き抜くための本能として、短期的欲求は長期的欲求よりも優先して魅力的に感じるように仕組まれています。瞬間的危機を乗り切れなければ、長期的なプランもあったものではないからです。

失敗する瞬間を意識する

というわけで、本能に従って生活している限り、人間は意思を貫けない生き物なのです。「次こそは...」なんて意気込んでも、脳のシステムが変わるわけではありません。

短期的欲求よりも長期的欲求を優先する。そのためにはトレーニングが必要でだと本書は述べています。具体的には、自己認識を高めるトレーニングです。

誘惑に打ち勝って自分がやると決めたことをやる。そのための決断を下すときには、自分自身でそれを強く認識していなければならない。その力が低ければ、常に脳は短期的な欲求に流されるからです。

人間は一日のうち、無意識のうちに何度も決断をしています。意思を貫けない場合、阻害する誘惑に対応する決断を無意識のうちにしてしまっている可能性が高いといいます。

たとえば「仕事帰りにジムにいく」という決断をする前に、「少しだけ残業して仕事を片付けておくか」「夕食をとるか」「ニュース番組を少しだけ見るか」という何気ない選択があるわけです。

結果としてジムにいく時間はなくなってしまい、「また明日にすればいいか...」となる(大概の場合、明日も行かないことになる。)

本書で推奨される対策は、自分自身が失敗するパターンを知ることです。失敗する瞬間を強く認識し、失敗する直前にあった無意識の意思決定を意識的なものにしていくこと。それによって自己コントロールを可能にする。

ユニークなアイデアとして、失敗するパターンに陥る自分にニックネームをつけるというのが紹介されていました。(ダイエット中にお菓子を食べそうになる自分を「クッキーモンスター」と呼ぶなど)自己認識を高めるうえで有効かと思います。

僕も朝の大切な時間をYoutubeで浪費してしまうことがよくあります。これからはついついYoutubeアプリを開いてしまう自分を「Youちゃん」と呼んで自覚しようと思います。

余談

にしても...

本書の原著タイトルは『The Willpower Instinct』。日本語にすると、意志力の本能といったところでしょうか。

案の定といいますか、タイトルに「スタンフォード」なんて入っていません。

「スタンフォード」とか「ハーバード」とかタイトルにつけた方が売れるんでしょうね。たぶん。

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