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『The First 90 Days』④新環境での仲間づくり

『The First 90 Days』/ Michael D. Watkins

転職や部署異動など、自分自身の役割が変わったタイミングでどのように立ち回ればよいのか?その対処法を教えてくれる良書である『The First 90 Days』

前回までは役割変更直後の30日の戦略についてをまとめた。

前回の記事:『The First 90 Days』③転職や昇進直後30日の戦略

最初の30日では忍耐と辛抱が大切。あれこれ動きたくなる気持ちをグッと我慢し、新しい環境を観察することに専念する。その過程で組織文化や構造を冷静に分析していくのだ。

今回は「新環境での仲間づくり」という具体的なテーマで、本書を元にした僕の意見をまとめる。

リセットされた環境に慣れていこう!

会社のような組織では、自分一人だけで完結できる仕事はほとんど存在しない。メンバーとうまく連携し、その中でうまく立ち回るスキルは重要だ。

良好な人間関係と明確な役割分担は、チームワークをうまく機能させるために不可欠な要素だろう。慣れ親しんだ組織下では、多くのメンバーがあなたの人間性や能力を理解してくれていたことだろう。そのおかげで自然とうまくやれていたこともあるかもしれない。

だが、新しい環境に移ったときにはメンバーとの関係はリセットされてしまう。自分の役割も最初のうちは曖昧だったり未定であることが懸念される。それに気づかずに以前のチームと同様に振舞えば、思わぬ落とし穴にはまる危険がある。

新しい環境では、再度ゼロから仲間づくりが必要になる。そして、自分自身の役割についても手探りで明らかにしていくことになるだろう。思い込みではなく、上司やメンバーの期待値を確かめながら進めていきたい。

上司との面談を設定しよう!

そのために最も活用したいのが上司との面談だ。

前回の記事でも上司との面談の重要性を述べた。組織文化や社内政治を知るためにも上司との面談は有効だ。

最初の30日で上司との面談設定に成功したのであれば、引き続き上司に定期的な面談をお願いしてみよう。面談を繰り返すうちに、上司との良好な関係性を築いていきたい。

面談を通して確認したほうが良いことには、例えば以下のようなものが挙げられる。

・自分と上司の間で、あなたの役割について認識の齟齬がないか

・上司はどのようなマネジメントを好むか?
(権限委任型か、マイクロマネジメント型か?)

・適切な報連相の方法はどのようなものか?
(頻度・場所・フォーマル/インフォーマル・連絡手段)

定期的な面談は継続していくことが望ましい。毎週末・毎月末などに定期面談を設定し、あなたの取り組みに対するフィードバックをもらうのも良いだろう。

なお、上司が気難しい人だったり、あまり面談を好まない人であるという可能性もある。その場合、言い訳をして面談を設定したくないと思ってしまうかもしれない。たとえそのような場合であったとしても、上司にお願いして面談の時間を設けてもらったほうがよい。

ほとんどの場合、上司はあなたの成績評価者となると思われる。その上司の期待とあなたの行動が最初から異なっていた場合、後々になって挽回することは極めて難しいからだ。

また、社内政治的にも上司の存在は避けては通れないもの。新しい環境に身において地盤が固まっていないあなたにとって、直属の上司ほど味方につけておきたい存在はいないはず。

上司との相性もあるので強制はできないが、上司の優先順位を理解し、上司のスタイルを理解することによって、役割変更直後の不安定さを格段に和らげることができるだろう。

メンバーとの関係を構築しよう!

上司との定期面談の算段がついたら、次に気を配りたいのがメンバーとの関係構築。

もしあなたが全く異なる組織からやってきた場合であれば、あなたが上位者であったとしても完全なる外様であることを覚悟しなければならない。

既存メンバーが大切にしている価値観やこれまでの功績を理解せずして、良好な関係を築くことはできない。ましてや信頼関係を得るなど不可能だ。

じっくり時間をかけて既存メンバーと向き合い、彼・彼女らが大切にしていることは何かを考える。そして皆がやりたいことを後押しできるのが最良の状況だ。

ただし組織が変化を求めている場合では、既存メンバーの希望に添えないこともあるだろう。そんなときでも理解を示す姿勢を忘れず、メンバーたちの価値観や過去の功績を否定してはいけない。

決して焦ってはいけない。特に歴史ある組織ではメンバーとの関係構築には時間がかかる。文化の理解も一筋縄ではいかないかもしれない。

正論では組織は動かせず、あなたの力だけで組織を動かすこともできない。そのことを忘れてはいけない。

なお、あなたが昇進したという場合であれば、あなたの役割が変わったとしてもメンバーは顔なじみという状況もありうるだろう。その場合であっても、関係構築はゼロから始まるという気持ちで臨んだほうがよい。

これまで同等のポジションだったメンバーが、あなたの部下になっている場合などが特に気を付けたい状況だ。彼・彼女はあなたに上司としての期待を寄せるだろう。あなた自身も視座を高くする必要がある。どのような関係が理想かは時と場合によるが、これまでの関係の延長を続ければよいわけではないのだ。

まとめ

ここまで約2,000文字でダラダラと書いてしまったのでまとめたい。つい最近、ほぼ同義のことを指摘するTweetを発見したので貼っておきます。

真摯さと歴史への敬意が必要。ということだそうです。

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