テクノロジードリブンな革新的なアイデアの出し方

 書籍をちゃんと読んでから書いていきたいのだが、それを待っていると一生書かなさそうなので、取り敢えず見切り発車で書いてみる。

 エンジニアって革新的なアイデアを考えるポジションにないのが普通だと思うのだが、何故だかエンジニアの扱うテクノロジー自体は世の中を変える革新的なソリューションになる、と思われがちである。今だとAIとかそんな感じですよね。

 なのでアイデア出しに積極的に技術者として参加してた身として、知っている範囲で理論的にテクノロジードリブンなアイデアを評価・作る方法を書いていく。

目的ドリブンにしない

 当たり前だが、テクノロジードリブンはテクノロジードリブンでしかない。なので目的ドリブンでかつテクノロジードリブンみたいなのは基本無理がある。

 『こんな課題があってこれをAIで解決したいんだよ!』みたいな話はほとんどの場合、うまく行かない。単純にこれだと縛りを入れてるだけになってるだからだ。

 基本的に課題解決の要素としては3つある。スタート(現状の状況)があって、方法があって、ゴール(理想の状況)がある。普通だとスタートとゴールが判明しているので残る解決方法を考える。

 例えば『野良猫が庭でおしっこしまくる(スタート)ので、おしっこされないようにしたい(ゴール)』みたいな感じだ。ペットボトルを置くとか犬を飼って庭で放し飼いにする、とかが方法になる。

 しかし問題と方法を規定してしまうと変数になるのは結果になってしまう。なのでどうやっても式が成立しない。技術者的には『棚が欲しいんだけどいいのがない(スタート)ので、ハサミを使って(方法)ぴったりの棚を作りたい(ゴール)』みたいに言われた感じに近い。

 なので『いやいやそれ、ハサミじゃなくてトンカチがよくね?』とか『ハサミで作れる棚を作りたいってゴールが正しくね?』とか色々突っ込んでしまうわけだ。

 この例で判る問題点は2つで、1つは上で書いた通り、3つとも決め打つことは難しい、ということ。もう一個はハサミやらトンカチやらと比べてテクノロジーと言われているものはもっと使い方がクリアじゃない、ということだ。

 テクノロジーはできることがはっきりしない、単体でツールですらないのだ。ある程度システムとして肉付けをして、やっとツールになるのだ。

ゼロイチ(価値創造)ができている

 テクノロジードリブンに限らないが、ちゃんとそのテクノロジーで作ったシステムを使って『できなかったこと(0)』が『できるようになる(1)』というのが大事である。

 当たり前だが『センター試験で80点取れるAI』が『センター試験で95点取れるAI』になってもインパクトが薄いし価値創造とはいえない。

 スタートのディテールを細かく設定してゼロイチ、つまり価値創造にしておくことが必要だ。例えば上のAIでもスタートとゴールの設定次第で『センターで東大受験が足切りされないAI』みたいな形にするとゼロイチ感が出てくる。

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