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魂(たま)散歩11.5歩目。貴婦人さんの人生の振り返り。

●貴婦人さんの人生の振り返りについて

「私は、生まれてきた時から、自分自身の必要性や存在意義がよくわかりませんでした。両親や兄達からの愛情を特に欲した、ということもありません。何かがやりたかった、ということもありません。大きな目的も目標も私自身に対してはなかったのです。なので、なぜ私が生まれたのか、それが不思議でたまりませんでした」

「私が『少女』と呼ばれる時期を過ごした場所では、神様とこの世界についての話をよく聞いていました。『神様はどんな人間にも等しく、この世に生まれてきた意味や愛情を持って存在させている』と繰り返し説かれていました。ですが、私の周囲を見ていると、本当にその言葉は真実なのかわからないことばかりでした」

「夫のことは、愛しているか、愛していたのかと聞かれるとよくわかりません。ただ、弱い人だとは思っていました。自信家で奔放で倫理観も理性も吹き飛んでいる…そんな人を懸命に振る舞っていましたが、誰よりも弱い人でした」

「結婚する前も、結婚してからも…夫のことで良い噂や評判というのをあまり聞いたことがありませんでした。なぜ結婚したのか?と囃されたこともあります。ただ、結婚し、彼の弱い部分を見て、そこを受け入れ、彼と家族を増やし、生命の営みを静かに私なりに行うことで、自分自身の生まれた意味はその生命をつなげていくことなのだな、と思えるようになっていきました」

「私の結婚生活は、一部の人達からすれば、とても不幸で、苦労や忍耐を求められてばかり、報われないものだと思われているかと思います。だって、その方が、夫への醜聞として残り続けますし、私へ無責任な同情を注ぎ、優越感に浸れますから」

「私は、あの弱い人から愛されていた…とは思いませんが、必要とされていたとは思っています。そうでなければ、愛すべき子どもたちに出会えませんでしたし、私が子どもを失い、哀しみに沈んでいる時も、(しばらくは離れて逃げ回っていましたが)結局、夫の方から私のもとに戻ってきて『1人失うだけでこんなに辛いなら、大勢の家族に囲まれて幸せで辛さを見えなくするために、もっと増やそう』なんて子どもみたいな提案をしてきたりはしないと思います」

「私の人生は、差し当たって目立つような花もなく魅力もない私が考える以上に起伏に富み、そしてたくさんの家族を与えてくれました。私は家族を助け、そして、生命をつないでいくために生を受け、それを神様が夫とは違う『平等さ』で導き、後押ししてくれたのだと思っています」

「後悔ですか?それはたくさんありますが、どう振り返っても戻らないものは戻らないし、そこは変えられないことなのです。それならば、『そういうこともあった』と自分の中だけででも、見ないふりをしてしまえば良いのです」

…ということでした。
若草色のシンプルな柄のドレスをまとい、栗毛色の馬にまたがったあと、『良い旅を…お互いに』と笑顔で話し、そのままゆっくりと光の中へと進み、溶けていかれました。

…『平等』とはなんでしょうね。

貴婦人さんの旦那様は、その『平等』について
自ら名乗り、体現しているとし、そして人生を駆け抜けました。

彼女はそんな旦那様のことを、「弱い人」だと評しています。
しかし、彼女の中では、旦那様に対しての評価として、
それ以上でもそれ以下でもなく、それ以上を語ることはありませんでした。

ただ、彼女自身『平等』というのは、
私達のような人間が決める尺度ではなく
神のような、より強い存在が、その存在であることを示すために
他の命に割り振り、その『不平等さ』を感じてもらうことで
意識していくもの…ということを話されていました。

その「生命」の定義がどこまで当てはまっているのか…

それを考えるだけでも、『平等』の深さにハマっていきそうですね。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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