昇級を引き寄せた0.5手を稼ぐ犠打～高見七段戦～

モバイル中継で配信のあった対局でした。
結果的に竜王戦2組昇級を決めた一局となりました。

犠打その１

終盤戦、相手は飛車を軸に横からの攻めを狙ってきました。

飛車が二段目で自玉をにらんでいるので、△３七歩成～△４八と、と進むと厳しい攻めになります。

そこで▲２九歩と打ちました。△同飛成なら飛車のききがそれて安全度が増します。
当然△３八飛成と逃げてきますが、そこで▲４五桂△４三金ときかしました（△４五同歩は▲３三馬と金を取れる）。
やはり△３七歩成～△４八とが残っていますが。

犠打その２

再び▲３九歩と犠打をはなちました。

どうしても竜のききをそらしたいのです。
△同竜で△３七歩成～△４八とが依然として残りますが、竜のききがそれたので▲６七金と逃げる手が指しやすくなっています。

1手を稼ぐには至りませんが、0.5手くらい稼いだ感覚です。
でも終盤戦ではこの0.5手が大きいのです。

▲３九歩△同竜に▲４一角△６一玉▲７五歩と反撃へ。

受けづらい攻めですが、スピード感には欠けます。
しかし直前に0.5手稼いだので、ギリギリ間に合うと判断しました。
また、▲７四歩～▲７三歩成～▲８五桂と攻めることで、自玉の逃げ道が開くのも見逃せません。

実戦も桂がどいた７七に逃げて手を稼ぎ、勝つことができました。

2局連続での出現

歩の犠打で飛車のききをそらす手筋は、なんと前局の杉本（和）五段戦でも出現しました。
それだけ頻度の高い手筋なので、覚えておくと役に立つはずです。

玉の早逃げのように8手稼ぐことはできませんが、終盤戦では0.5手でも稼ぐことが勝利へつながります。
相手の飛車が好位置にいると思ったら、狙ってみてください。