節約が招いた転落～自戦記　八代七段戦～

ABEMA、モバイル中継で配信のあった対局でした。
下記の対局が14時から行われ、本局は同日の19時から行われました。

一次予選の決勝ということで、力の入る対局でした。

矢倉

振り駒で後手になり、矢倉へ。
ここ最近矢倉が続いており、対雁木含めてこれで4局連続になります。
全体の傾向としても矢倉が増えています。

変則的な脇システムに進み、形勢判断が難しい将棋に。
一方的に攻められてやや苦しめかな、というところで迎えた図。

次は▲３三歩△同桂▲同桂成△同金▲２五桂の「おかわり攻撃」がきます。
そこで実戦は△２四歩と催促しつつ後の▲２五桂を消しました。
しかしこれが敗着に。

端攻め

相手の▲３三歩△同桂▲１三桂成という手順が当然ながら厳しい攻めに。

（圭＝成桂）

以下△同玉▲１四歩△２二玉▲１三歩成△同香▲同香成△同玉に、▲１四歩と進行。

この王手が痛烈でした。
△同玉と取ると、▲１九香△１五歩▲同香△同玉と引っ張り出されて、

▲２六銀△１四玉▲７一角が好手順に。

先手は飛車か金を入手すると▲１九飛△２三玉▲１三金（飛）で詰ますことができます。
そのため▲７一角が痛打になるのです。

△２四歩と突いた時点ではこの▲７一角が見えていませんでした。
これを食らっては一気に負けるので▲１四歩の王手に△２二玉と逃げたものの、▲１三角からディフェンスラインを突破されて劣勢に。
先手の矢倉囲いが手つかずでは逆転の余地はありませんでした。

守りへの投資

戻って△２四歩では△２四銀と「桂頭の銀」を打つべきでした。

▲３三歩からの「おかわり攻撃」には、△同桂▲同桂成△同金▲２五桂に△同銀で駒損ながら攻めを食い止められます。

▲１四歩△同歩▲１三歩からの端攻めも厳しいですが、△２四銀と打ってあるのでディフェンスラインの突破も容易ではないでしょう。

銀を手放すと反撃の味がなくなりますが、突破されるよりはマシです。
先手もハッキリとした攻めが見えないと焦る展開だったと思います。

△２四銀は勝利に向けて必要な投資だったのです。
守りへの投資をケチってはいけないと痛感した一局でした。