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【富山移住者インタビュー】藍染め屋aiya 南部 歩美さん

こんにちは。ライターのchiharuです。
住む場所が変われば、見える景色が変わる。暮らしのスタイル、人生観までも変わることがあると言われています。

今回、富山県魚津市に移住をして、現在「藍染め屋aiya」を営んでいる南部 歩美さんを取材させていただきました。実際に移住して変化したことや、住んでみて感じた富山の魅力など、ありのままのホンネを語っていただきました。

┃ 移住をして変わったことを聞いてみました

もともと富山県富山市出身の南部 歩美さんは、学校を卒業後に上京。その後、京都や海外での暮らしを経て、富山県魚津市鹿熊(うおづしかくま)に移住。

現在、高校と保育園に通う2人の子どもを育てながら、古民家の自宅を開放し、藍染め体験を実施するなど藍染めや里山での暮らしの魅力を発信されています。

「移住で普段の暮らしが変わったことは?」「お金の使い方はどう変わった?」など、南部さんが実感した暮らしの変化について伺いました。

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■休日の過ごし方で変わったことはありますか?

南部さん:家にいる時間が長くなった気がします。都会に住んでいたときは、周りに遊びに行くところがたくさんあったので、「今週どこ行こう」「来週どこ行こう」って毎週出かけるのが当たり前になっていました。振り返ってみると、休日に家にいることって少なかったように感じます。

富山って、悪く言えば何もないって思われがちですが、何もないから家にいるのではなくて、なんだかんだ家にいるって感じです。
つまらないのかって聞かれるとそうでもなくて、次女はよく気付いたら外に遊びに行って、石で遊んだり、近所のおじいちゃんおばあちゃんを誘って一緒に遊んでもらったり・・・(笑)どこか特別なところに出掛けなくても、あっという間に時間が過ぎちゃうんですよね。

もちろん全く出かけないというわけではありませんが、家族で車に乗り込んで出かけることは減ったような気がしますね。

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―――都会よりも遊ぶところは少ないですが、その分家族とのんびり過ごす時間って増えそうですね。休日の充実感も増すような気がします。

南部さん:そうですね。なんだかんだと、休日は家族でのんびり過ごしています。
それに、今住んでいるところは里山の田舎ですが、魚津市の繁華街までは車で10分ほどあれば行けちゃいます。映画館や大きなショッピングモールこそないですが、普段の買い物には不自由しないですし、美味しいもの食べに行くにしても、車で少し走ればなんでもある街なので不便さは感じていません。

でもやっぱり車で10分~15分だと往復30分かかってしまうので、だったら家に居る方がいいかなって。
それこそ長女は、最近お菓子作りにハマっていて休日はお菓子を作ってくれます。何か特別なことをするより、のんびり過ごしていることが多いかなって思います。

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南部さん:それに、休日にも藍染め体験を実施することがあって、子ども連れで体験しに来てくださる方も多いです。だから、その子ども達とうちの娘もすぐ友達になって一緒に遊んでもらうことも・・・(笑)たくさんの人が出入りする家なので、そういう意味ではとても刺激がありますね。子ども達にとっても良い経験なのかなって感じます。


―――子どもの頃からいろんな人と関わることって大切ですよね。地域の方々との触れ合いも増えましたか?

南部さん:そうですね。特にこの地域は子どもが少ないので、外に出て遊んでいる子ども達の声を聞いて、外に出てきてくれるおじいちゃんやおばあちゃんもいます。見守ってくれているというのが、普段から伝わってきますね。


―――私達が子どもの頃って、近所の人達みんなが知り合いというか、大きな家族みたいなものでしたよね。一緒に遊んでもらったり、時には叱ってもらったり・・・。

南部さん:そうそう。今大人になって思い返すと、地域の方々にも育てられたんだなって感じます。そういう繋がりって、どんどん希薄になってきていますが、目の前の人とのコミュニケーションを取るってとても大切な時間だと思います。

この村では、子どもも大人もちゃんと役割があって。夫も地域の草刈りに駆り出されることもあります。田んぼや畑はみんなで守っていこうという感じです。みんながこの村で心地よく暮らすためには、やっぱりそれなりの役割があり、支え合っていると実感できるので、子育てをするにはいい環境だなって思いますね

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■お金の使い方で変わったことはありますか?

南部さん:お金の使い方も変わりましたね。私がこういう仕事をしているのも影響しているのかもしれませんが。どこの誰が作ったのが分からないものより、作り手が見えるものにお金を使う機会が増えたような気がします。

例えば、ご飯を食べに行くにしても、友達が経営しているカフェに食べに行くことがあります。以前だったら、ファストフードとかで簡単に済ませてしまうことも・・・今もダメではないですけどね。

この仕事を始めてから横の繋がりが生まれて、そういう繋がりは大切にしたいなって思います。気を使って食べに行くのではなく、どうせ同じご飯を食べるのだったら、あの人が作ったご飯を食べたいって思うし、同じ野菜を買うのだったら、作り手が見える野菜を買いたいと思うようになりましたね。ごく自然に。

そういう選択肢が自然に加わって、年々その想いが大きくなってきたように感じます。

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南部さん:するとまた、新たな繋がりが生まれたりするんですよね。別に狙っているわけじゃないのですが(笑)そういう場での出会いで、人の輪が広がると言うか。そこから自分の知らない世界が広がって、その場にいくことでお金が発生するので、
そういうお金のやりとりって、気持ちがいいなって思いますね。別に高い安いじゃなくて、この人のために、これだけ提供してくれているのだったら「喜んで!」みたいな(笑)そういうお金の使い方ができているのかなって思います。
貯金はなかなか貯まりませんけどね(笑)持ちつ持たれつみたいな・・・。


―――そういうお金の使い方って、素敵ですよね。同じ金額だとしても、その深さって全く違うんだろうなぁ。

南部さん:そうですね。そういう意味では、すごく豊かになりましたね。しっかり深く付き合える人達もすごく増えたと実感しています。

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■富山に移住して、感じることはありますか?

南部さん:良くも悪くも、いったん富山県を出たのも良かったのかもしれません。学生の時には感じなかった富山の良さというものは、歳を重ねるたびに響いてきます

私は、たまたま富山にご縁があって、魚津市に住んでいる夫と出会い、魚津市に住むことになりました。当初は、魚津市って小さな町ですけど、どこに何があるのか全然分からなかったです。でも、1年2年と暮らしているうちに、自分の町になっていきました。藍染めの仕事を始めたこともあって、年々魚津市が好きになっている自分がいるので、その魅力を伝えていくことで、共感してくれる人が増えると嬉しいですね。


―――富山を出たからこそ分かる魅力ってあるかもしれませんね。私も同じく、10年以上関西で過ごして富山に戻ってきたので、海も山も近くて自然も豊かな「富山に住む贅沢さ」を改めて実感します。

南部さん:20代の大半を県外で過ごしてきたので、年齢も20代から30代に変化して、子どもも育てて、自分の人生で学生の時にはなかった変化も大きいので、それも踏まえて今富山が居心地いいなって思いますね

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■富山県魚津市の魅力を教えてください

南部さん:人との繋がりが生まれやすいと思います。都会では希薄になっているご近所付き合いが、私は子育てをする上で大事だと思っているし、私自身もご近所付き合いが心地いいと感じるので、そういうコミュニケーションが生まれやすい環境という意味では、この魚津市で子育てできているのが幸せだと感じます。

大きな遊園地があるとか、大きなショッピングモールがあるとか、富山県ってそういうインパクトの大きいものってあまりないかもしれません。でも、自分のペースでちゃんと暮らしていけますし、ちゃんと暮らしがここにあるって感じなんです。毎日の暮らしが、いろんな人に助けて支えてもらいながら、ちゃんと手に入れられているような気がするので、ここで暮らしてきてよかったなと実感しています。


―――地に足がついた暮らし、というイメージでしょうか?ちゃんと暮らしているって実感できるのって大事ですよね。

南部さん:言葉にするとそんな感じ。ちゃんとその地で根付くというか。昔からよく「住めば都」って言いますが、心地よい暮らしを自分たちでちゃんと作っていけさえすれば、どこに住んでも都になるのかもしれません。
私は、いろいろな人とのご縁もあって、今この魚津市に暮らして、子育てしながらご近所さん達と「ワーワー」言いながら、大好きな藍染めをできているので、大満足ですね。

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┃まとめ

今年から、近くの畑を借りて藍染めの原料となる「タデアイ」を育て始めている南部さん。畑の草刈りやお世話など、「もう大変だよ~!(笑)」とおっしゃる表情は、とてもキラキラと希望に満ち溢れておられました。

鹿熊という里山に移り住んで、気持ちや暮らしの変化について南部 歩美さんのお話を伺いました。ぜひ富山への移住を検討されている方の参考になればと思います。



【ライタープロフィール】

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■Chiharu

1985年生まれ。富山県出身。18歳で関西に上京し、大阪・京都・奈良にて12年間を過ごす。30歳のときにUターンで富山に移住。現在、小学生の男の子1人を育てるシングルマザー。北陸の女性を応援するwebメディア「ワタシゴト」のママライターとして、北陸のよいモノ・コト・ヒトを発信する活動を行っている。


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