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放課後アトリエ体験クラスレポート② 街の廃材と古材でつくる

街の余り物が集まるアトリエ

「とをが」は、小金井市前原町の丸田ストアー2階にある。そんな街の商店の中にあるアトリエとして、できるかぎり街の中から材料を集めることにした。

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丸田ストアー1階のお店で捨てられるはずのものも、
2階のアトリエにやって来る。

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ご近所の方やお客さんが持ってきてくださる材料もたくさん。
布に革。

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こちらは、いろいろな色のタイル。

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とをがを改装した時に出た古材や、
大工さんに分けていただいた木っ端も。

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さらに人工物だけではなく、近所の武蔵野公園や野川公園で
秋冬にたくさん手に入る木の実や枝も。

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道具も、いただき物がたくさん。
特に、短くなって捨ててしまうという鉛筆は、たくさん集まった。

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そんな街の廃材や古材、残材といった、いわば「余り物」を使いながら、自由にブリコラージュ(ありあわせのものでつくること)ができるアトリエになれたらと考えている。

ものと出会い、遊び、つくる

「余り物」は、不思議な形をしている。必ずしも、整った形をしていない。でも、それがひらめきや試行錯誤のきっかけになったりもするだろう。

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偶々ここに集まった「もの」。偶然出会った「もの」と向き合って、何か感じたり、じっくり考えたりする。
不思議なことに、様々な「もの」と出会うと、こどもたちは何かをつくり始める。

最初は、一見ただ遊んでいるような、いじっているような、無意味な活動に見えるかもしれない。でも、ものに触れて、確かめて、そして表している。

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遊ぶことと、つくることが、限りなく重なっている。「つくりあそぶ」こと、ごちゃごちゃにすることが、ものとの最高の関わりで、ものをつくることの一番根っこ。そんな「遊び」の時間を、とをがでは大切にしている。
「遊び」には失敗がない。でも成功もない。やってみてできたこと、生まれたものを、大事にしていきたい。

一人一人違うことを、一緒にできる

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一人一人が自分のやりたいことを、自分のペースでできること。これもアトリエでは大切にしていきたい。
一人一人違う人間なのだから、やりたいことも、つくりたいものもばらばら。材料も道具も、つくり方もペースも、全部ばらばら。それで良いし、それを守ってあげたいと思っている。

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ところが、不思議なことに、そこには一体感が生まれる。
「あー、切れない!」と一人がもらすと、みんなが集まってきて、いろいろなアイディアを出し合ったり、手伝ったり。
「できたー!」と一人がつぶやくと、みんなが何をいうでもなく集まってきて、「おぉ!!」とか「へぇー!」と、言葉にならないリアクションをして、またそれぞれの場所に戻って行く。そんなコミュニケーションが不思議と心地よい。

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2年生の子が、文字通り「木に竹を接ぐ」ようなことをしたいと模索していた。木材にドリルで穴を開け、そこに紐を通して、竹に結びつける方法を試すが、結んだ紐の遊びですぐに竹と木が離れてしまい頭を抱えていた。すると、そこに4年生の先輩が来て、革を使ってビスで止めるアイディアを教えてくれた。

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そして、二人の知恵を出し合いながら、木に竹をつなげるという、無謀なミッションを見事に乗り越えてしまった。乗り越えてしまった当人たちが一番驚いていて、二人で喜びを分かち合っていた。
一人一人違うことをしているけど、一緒にできる。むしろ一人一人違うことをしているからこそ、できるのかもしれない。

自分を、信じている

そんないろいろな交流が起こっている中、一人黙々と木を切り続ける子がいた。刀をつくりたいというが、切るにはあまりにも太すぎるし厚すぎる。大人だって、こんな木材を手で切るなんて、できれば辞めておきたい。

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「もうちょっと細い木にした方が・・・」「厚すぎない?」「重いよ?」とお節介で口を挟むが、「自分で切るから、大丈夫!」と譲らない。
のこぎりと糸のこぎりと、どちらも試しながら、その手強さに唸りながら、切り続けていた。40分近く切り続けただろうか、なんと木が切れた!
ところが、切り口が「思っていた形とちがう」と、本人は満足していない。そして、何の迷いも休みもなく、再び切り始め、切り続けた。
結局、あわせて1時間20分ほどかけて、本人が満足する形に木を切り終えた。

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「やりきる」「やりぬく」ということ。それは、自分を信じることで、その自分を回りが信じてくれるということ。
困ったときには、いろいろな知恵や技を提供することもできる。
でも、それ以上に、信じて待っていてあげられるアトリエであれたらと願っている。

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とをがに集まった街の「余り物」は、こどもたち一人一人のひらめきと試行錯誤によって、いろいろな形に姿を変えました。希望者の作品を、とをがのギャラリースペースで3月中展示しています。丸田ストアーにお立ち寄りの際は、ぜひご覧ください。(執筆者 渡邉)

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