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お金の話~科研研究成果公開促進費(学術図書)を申請するの実録(所属先を通さない場合・汎用版)

※出版に当たって、各所に払ったお金を支払った順番に。

1、 一般財団法人公正研究推進協会(APRIN)提供・研究倫理教育eラーニング

 平成31年度公募要領の中で、受講を促されたもの。義務なのか否か、何時までにうければ良いのか、どこかの段階で受講したかどうかチェックされるのか、すべてが謎であった。どうも昔から有るものではないらしく、この点を科研費応募経験者複数に訊いても全く要領を得なかった。また所属がある場合は、所属先が受講させるので、個人で受講料を払う必要がないということだった。仕方ないので、個人で申し込み、7,000円(税込)を支払い受講。
 結果的にはこれを読めばOK。内定後の書類で、読んだかどうか、チェックシートを出させられる。
 全く必要の無い出費であった(涙)。

2、英文要旨の英訳

 単著に英文と(中国文学の研究書なので)中国語の要旨をつけたほうが良いよ、ときいたので、頑張ってつけた。中国語については自分で書いてから、謝辞にも名前を挙げたTさんにネイティブチェックをしてもらった。英文はしかし、ネイティブチェックの当てがなかった。『T方学』に英文要旨を出す時はなんとか自分で書いていたので、今回も自力で書こうとしたが、量が多すぎたし、この分だといつもお世話になっているエディテージに英文校正をお願いしても、多分読むにたえる英文にはならないだろうと思われた。結局諦めて日本語で書いて、エディテージに丸投げした。もっと早く諦めた方が、時間を浪費しないで済んだと思う。スタンダード学術翻訳で77,011円支払う。英語も勉強した方が良いということの授業料。
 現在『債鬼転生』についてエゴサーチすると、中国・台湾以外にも韓国のサイトが引っかかるので、この出費は無駄ではなかったと思う。

3、献本

 献本の出費は、本の価格と密接な関係がある。
 本の価格については、博論の出版を考え始めた当初から「相場より安くして、気軽に読めるようにしたい」と考えていた。(ついでに言うと、学術書っぽい、モノトーンに文字だけの表紙は避けたいというのも当初からの希望だった。)出版社の紹介をお願いするときも、「お値段抑えてとっつきやすい見かけの本」という希望があることはアピールした。結果的に本の価格は税込みでも5,000円を切った。
 さて、献本の条件は、「30冊まで無料・はみ出た分は著者負担。1冊当たりの価格は8かけ。著者自宅以外の送料は著者負担」ということで、出版社から献本先へ直接発送は43件(うち10件は海外)、著者自宅発送は25冊(送料分を節約するため、手渡しできそうな人にはなるべく手渡し)。しめて178,130円となった。なお、その後発生した追加分は入っていない。「出版が落ち着いたら癒しの台湾旅行か温泉か♪」という空気は、一気に吹っ飛んだ(立ちなおりかけた頃にコロナが)。
 それにしても、もし本の価格を抑えておかなかったら、献本で吹っ飛ぶお金はこれで済まなかったはずである。その後も公募のたびに飛んでいく本も皆自腹である。本の価格を抑えることは、読者の為だけではなく、自分のためにもなるのだ。


※科研費以外の出版助成について

 私としては親が元気なうちに本を出してしまいたい、と思っていたので、原稿が出来たのに科研費申請に間に合わなかったり、科研費に落ちたりした場合は、別の出版助成に申し込むつもりであった。幸いにも科研費が一回で通ったので、以下の出版助成に申し込むことはなかった。

➀東京大学学術成果刊行助成… 五月末ごろに募集で助成上限は100万円。博士論文提出後一定期間内という規制があるのでそこは要確認。科研と同じく、出版社に見積もりを出してもらう。東大教員(名誉教授OK)の推薦文が必要。
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/research/systems-data/n03_kankojosei.html 
➁法政大学出版会… 法政大学関係者でなくても良いらしいが不明。五月末ごろ〆切。
http://www.h-up.com/20190329josei 
➂東京大学出版会の助成… ①とは別物。東大現役教員の推薦が必要。五月末〆切。
http://www.utp.or.jp/news/n20365.html
➃橋本循記念会… 本人の居住地又は勤務先が京都府内であることが条件。
http://www.rohoku.com/research/ 

この他、九州大学出版会・名古屋大学出版会にも出版助成制度あり。海外の研究機関の助成金を得る、という選択肢もある。

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