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観光と在日外国人

外国では、日本人の考えが及ばないくらいの大金持ちがいますし、中国のバブル経済もあり、観光業界においてターゲットであるインバウンドは言わば、外貨獲得政策の一環と言ってもいいでしょう。しかし現在日本の観光業界は、日本政府のコロナ禍対策において、インバウンドを全く期待できない状況にあります。インバウンド集客の潮流に乗って、それに傾倒して営んでいた会社や店舗は、大ダメージをこうむっています。「世の中どうなるのか本当にわからない」と思わずにはいられません。
「政策」だなんてお堅いことはともかく、外国人に日本の良さを知ってもらい、楽しんでもらうことで、結果収益に繋がればとても嬉しいことです。しかしそれは今、インバウンドに向けられる状況ではありません。

①在日外国人を観光のターゲットにする

「外国人はインバウンドだけではない」ということです。観光を考えた時、外国人=インバウンド(海外から来る外国人観光客)と考えることが多く、在日外国人が相当数いるのに、彼らをターゲットにしている観光地はほとんどない状態です。私にとってそれが不思議でなりません。確かに両者の目的に違いはあります。インバウンドは明らかに観光目的ですが、在日外国人は就労目的であることが多いと言えます。在日外国人が就労目的だったとしても日本人と同様に、当然観光があっていいはずです。

②在日外国人を知る

在日外国人をターゲットにするには、彼らについていろいろなことを知っておいた方が、観光を考える上で非常に役に立ちます。在日ブラジル人の友人が大勢いますので、エピソードを書いていこうと思います。

エピソード1:ある時、浜松市在住ブラジル人から福井県の海がキレイで、「皆そこに行っている」という話を聴きました。それを機に興味を持って、実際行ってみたのですが、本当にキレイな海でした。それから数年間毎年海水浴に行っていました。静岡県の有名な観光地に「伊豆」があります。特に夏には、静岡県民のみならず、他県や海外からの観光客も多いです。浜松市から伊豆の南端方面に行くことを思えば、確かに福井県の海に行く方が断然アクセスがいいのです。しかし観光として考えた時に問題視しなければならないのは、彼らは海に行って楽しんだあとは、そのまま帰ってしまうのです。そこにはチャンスが眠っています。

エピソード2:在日ブラジル人の多くは、貯金するという感覚が乏しく、収入のほとんどを消費に回してしまう傾向が見られます。普段の生活の充実です。母国では買うことができなかったブランド品への憧れもあります。それは日本人が憧れる海外のラグジュアリーブランドというよりは、日本で普通に買えるナイキ等のスポーツブランド等がそれに当たります。ブラジルでは高級品に該当し、普通にはなかなか買えないのです。例え買えたとしても、それを身に着けていることで命の危険にさらされること(サンパウロ等の大都市で、殺傷によって奪われること)もあり、安全な場所でしか身に着けることができません。そして日本観光への意識が全体的に低いかもしれません。お金をかけるところが違う、コミュニケーションに不安がある、日本観光に魅力を感じない、習慣がない、ただ単に機会がない等、理由はいろいろ考えられます。その一方、お土産文化は日本人よりもあると感じることがあります。ただお土産にするものが違い、日本人は食べ物中心ですが、彼らはTシャツ等が中心で、食べ物をお土産にする習慣がありません。彼らの習慣といえば、バーベキューです。特に夏には、毎週土日に家や川でバーベキューというのも珍しいことではありません。肉の食文化、仲間同士会うこと、集まっての会話が楽しみなのです。ここにもチャンスが眠っています。

このように日本各地域に暮らすその他の外国人も、そういった独特な傾向があるはずです。各地域とその周りには、どんな外国人が暮らしているか確認してターゲットにしていけば、新たな観光のカタチも見えてくるのではないでしょうか?マーケティングと言わずとも、見たり聞いたりする機会があればある程リアルな外国人像がわかってきます。それが観光を作っていく上でのヒントとなります。
しかも彼らは、それぞれの国の者同士でコミュニティを持っており、そのネットワークは目を見張るものがあります。日本の観光に魅力を感じてもらえれば、瞬く間にその情報が広がる可能性が十分にあります。

③在日外国人の登用

観光地で働いているのは日本人ばかりで、外国人を見るのは稀です。何故でしょうか?日本の観光は日本人だけで作っていこうと思っているのか、雇用を日本人優先に考えているのか、外国語がわからないから扱えないので諦めているからなのか、そういう考えに及ばないだけなのか…相当数いる在日外国人を認識し、もっと活用すべきではないでしょうか?観光ターゲットに在日外国人を考えていくのに、言うまでもなく互いを知る在日外国人登用は必要不可欠です。
日本の観光について、日本人が外国へ直接アプローチするよりも、在日外国人がそれぞれの国にアプローチすることの方が、ずっと効果的ではないでしょうか?在日外国人には日本語が話せ、日本の習慣や文化を吸収している人は大勢います。在日外国人を知ろうとしたり理解しようとすることを面倒臭がったり諦めようとしなければ、扱い方は思っているよりはハードルが低いように思います。それができずにインバウンドを考えるなんて無謀にも思えます。外国人の目から見た日本の観光について、興味があること等直接意見を聞くことができますし、それにより欠けている部分や思い違いをしている部分、新たな発見もあることでしょう。それがわかれば対策をとることができ、より良い観光を提供していけるに違いありませんし、広報においても有効な戦力となるはずです。

観光こそダイバーシティであるべきです。今後日本の観光を考えたとき、在日外国人をターゲットにしていくと同時に、活用していくということがとても重要だと考えます。特に現コロナ禍においてインバウンドに期待できない以上、在日外国人に喜んでもらえる観光を作っていけば、再びインバウンドが来日する時までの態勢作りにもなります。それは彼らの母国にいる家族や友人に広まっていき、きっと日本に訪れてくれることでしょう。

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