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西讃(香川県西部)ゴールデントライアングル

Youtubeでは、紫雲出山・高屋神社・父母ヶ浜というここ数年インスタ映えスポットとして話題となっているスポットを1日でまとめて巡る様子を動画にしました。
noteの方では、3つのインスタ映えスポットを訪れた感想に加えて、それぞれの観光地化の状況について解説します。

旅のきっかけ

旅行の行先選びのポイントとして学生からも支持されている『インスタ映え』。「SNSにアップするために旅してるんじゃねーよ」と苦々しく思っていたのですが、その一方で内心「きれいな景色を見たい」自分もいたりします。
そこで今回は、西讃(香川県西部)のインスタ映えスポットを巡って『インスタ映え』について考えてみることに。
【翻訳】なんだかんだと、もっともらしい理由をつけてお出かけしました。

紫雲出山(三豊市)

紫雲出山は、山頂から満開の桜越しに見る瀬戸内海の景色がインスタ映えするスポット。

桜の時期は花見客が殺到することから、山頂の駐車場は事前予約制で入山料金は平日 1750円、土日 2300円。麓の港に集合して時間が来たら山頂に向かいます。山頂の滞在時間は約70分。
地方在住者としては「高いなぁ~」と感じてしまいますが、適切な料金をしっかり取るというのはとても良いと思います。日本ではサービスの対価を低く見てしまいがちですが、車両の誘導などに多くのスタッフが関わっていますし、予約システムの運用や桜の木の管理もタダではないからです。

近年は桜の病気が拡がって一部を伐採せざるを得なくなったようで、山頂の桜も少しボリュームダウン。徒歩入山には1名500円の桜募金が呼びかけられていました。おそらく、自動車の入山料金にも含まれているだろうと思われます。
とは言え、山頂一帯は桜、桜、桜。十分に素敵な風景を楽しむことができました。桜の下でお弁当を広げるグループの姿もあちこちにいて、ひとり散策していた私も「のどかな花見の春」を感じました。

高屋神社(観音寺市)

高屋神社は、山頂の鳥居越しに平野と瀬戸内海が一望でき、「天空の鳥居」とも呼ばれるインスタ映えスポット。

山頂の神社までは道幅の細い山道で、駐車台数も限られることから、休日には麓の琴弾公園からシャトルバス(往復で大人1000円)が出ています。
インスタ映え写真は、ネットでバズったもののようにはなかなか撮影できないものですが、ここは、そのまま同じような景色が見られ、撮影できる珍しい場所でした。

ただ、「超級の絶景だぁ」と感動したものの、その一方で少し時間を持て余しました。帰りのシャトルバスまでには30~40分ほど滞在時間があるのですが、御朱印やおみくじまで自販機販売になっているくらい山頂にはなにもなく、同じバスで来た方々もウロウロするばかり。

神社の境内だから難しいのかもしれませんが、「ここにコーヒーのキッチンカーがあったらめちゃくちゃ売れるのになぁ」と思いながら時間を過ごしました。これは麓のシャトルバスの乗降場も同様で、受付の横に観音寺市のグッズやお土産が売られていたら、バス待ちの観光客が手に取るのに…。

父母ヶ浜(三豊市)

父母ヶ浜は、「日本のウユニ塩湖」と呼ばれて、凪いだ水面を水鏡にして色々なポーズのインスタ映え写真が撮れると話題のスポット。元々は地元の海水浴場でしたが、この数年で年間数十万人が訪れる県内有数の観光スポットになりました。

私は17時頃に到着して18時半頃の日没を待ったのですが、砂浜沿いにはおしゃれな飲食店やショップができていて、今まさに観光地として急伸している勢いを感じました。

また、撮影してくれる地元のボランティア(?)の方々のところには撮影待ちの行列が…。

父母ヶ浜全体が広いので混雑にはなりませんが、すごい人です。

日没の景色は確かに美しく、コーヒー片手に十分に堪能できました。日没待ちの間に、バーガー、コーヒー、お土産と散財もして、地元経済に小さな貢献もできたのではないかと思います。
ただ、たくさんの人がポーズをとった「映え写真」を撮ろうとしていて、「もうちょっと父母ヶ浜の夕景を、素直に楽しんでもいいんじゃないか?」というモヤモヤも感じました。「映え写真」撮影後には、彼らも海岸の景色を見て「きれいだなぁ~」と楽しんでいるとは思うのですが、実際のところはどうなんでしょう?

旅を終えて

訪れた3つのインスタ映えスポットは車で30分ほどで行き来できる至近距離にあり、勝手に「西讃ゴールデントライアングル」と名付けてみました。瀬戸内の海と陸を三者三様に美しく見せてくれる絶景です。
「インスタ映え」にブームの臭いを感じて敬遠していましたが、「いやぁ、いい一日だった~!」と満足している自分がいます。思えば、素敵な構図の景色に惹かれるのは『名所図会』の景色を求めて旅した江戸時代も同じで、古来からの旅の定番的な楽しみを知る情報源がSNSに進化しただけなのかもしれません。
また、この旅では「対価」について考えさせられました。2300円でスムーズに移動できて桜の保全にも少しばかり貢献したと思われる紫雲出山、1000円で絶景スポットに連れて行ってもらったがちょっと時間を持て余した高屋神社、駐車場は0円だけど色々と3000円くらい散財してしまった父母ヶ浜。「その場所での自分の満足」と「地元の人がWelcomと言ってくれる笑顔」の両方が得られる「対価」は一体いくらなんでしょう?

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