見出し画像

D2Cとは何なのか。改めて考えてみた。

最近「D2Cブランド」という言葉を目にする、耳にする機会が多くなりました。これからのブランディングを考える上で無視できない言葉なので、改めて考えてみました。


D2Cって何?

まずはじめに「D2C」とは「Direct to Consumer」を省略した言葉です。シンプルに考えると、直接(ダイレクトに)お客さんに商品やサービスを提供するスタイル、という意味です。似たような言葉に「B2C(Business to Customer)」がありますが、どこが違うのか説明しましょう。

D2CとB2Cの違い

B2Cとは、会社(法人や事業者)と一般消費者との取引のことを意味しています。反対の言葉としてB2B(Business to Business)がありますが、これは会社同士の取引を意味します。一見するとB2CもD2Cも、一般消費者にものやサービスを届けるという点で同じように思えますが、大きな違いがあります。それは「直接」かどうかという点。

マーケティングの言葉で販売チャネル、流通チャネルというのがあります。これらは、どんなルートで商品が流通し、どんな場所で購入できるのかを表すものです。スーパーに並ぶ商品は、メーカーが作ったものを問屋や卸業者が買い、それをスーパーに販売することでみなさんのもとにたどり着きます。メーカーからすると、問屋や卸といった流通チャネルを使い、スーパーという小売業者を販売チャネルとして使って、商品の販売をしているということになります。この場合は一般消費者に向けて商品を製造して流通させているのでB2Cといえますが、販売は中間業者をはさんでいるので直接の販売ではありません。つまり「直接」ではありません。この場合D2Cとは言えません。

名称未設定-4-01

D2Cの場合は、メーカーが自社運営のネットショップや直営店を通じて販売をします。中間業者は関与せず、全て自分たちのチャネルでビジネスを成り立たせるのがD2Cの特徴です。だから「Direct」なんですね。

名称未設定-4-02

構造としてはB2Cの中にD2Cが内包されているイメージですね。

名称未設定-4-03

しかし、Cの意味が、一方はConsumerなのに、もう一方はCustomerなのは謎。

その他のD2Cの特徴

基本的には直接販売をしていればD2Cと謳えるらしいですが、D2Cブランドにはいろいろと特徴があるようです。

1.ライフスタイルの販売
一般的に「もの」を買うときの感覚として、その「もの」を買っているつもりだと思います。でも、よくよく考えれば、その「もの」の後ろにある何かを買っていることに気づくはずです。高級ブランドを買うのはステイタスが欲しかったり、カフェ風のインテリアを買うのはカフェのような暮らしがしたいから。
D2Cブランドは、販売する「もの」のクオリティも高いですが、商品がもたらす正解館を重視しています。商品そのものではなく、実現したいライフスタイルを売っているのです。

2.参加型
商品を作ったり、改善したりする時に顧客を巻き込むのが上手なのがD2Cです。顧客から意見を募り、それを商品開発に生かすことで顧客のブランドに対するエンゲージメントを高めています。誰だって自分の意見が採用されたら嬉しいですし、みんなに教えたくたくなりますよね。顧客は、顧客であり、商品開発担当者でもあり、エバンジェリストでもある。そんなコミュニティのような関係性を持つのも特徴です。

3.デジタル活用
とにかくデジタルを活用するのも特徴です。SNSを活用するのはもちろん、顧客データをもとにパーソナライズされた情報を理想のタイミングで届けるなど、さまざまなデジタルツールを使いこなします。

4.メディア化
1.ライフスタイルの販売、にも関わりますが、自分たちの世界観を伝えるために独自のメディアを持つブランドもあるようです。雑誌を作ったりWEBメディアを運営していたりするのですが、自社製品の宣伝のためではなく世界観やライフスタイルを共有するためにメディアを持っています。

5.倫理的価値
これまでのブランドは機能性や権威性を価値として販売してきました。D2Cブランドは倫理的な価値を提供しています。有名ブランドバーバリーが、生産している服の半分が売れ残りとして焼却処分されているというニュースがありました。安売りを避け、ブランドの価値を保ち続けるためにこのようなことをしているようですが、D2Cブランドには、環境問題、社会問題、人種問題、経済の課題などの解決を価値観として持っているものもあります。正しいことや世の中への貢献への姿勢が共感を生み、顧客を生み出しているようです。

これ以外にもいろんな特徴がありますが、これまでのブランドとは一味違ったものが多いようです。

なんでもかんでもD2C言うな

ここ最近は自称D2Cブランドも増えてきていますが、何でもかんでもD2Cと言われるとなんとなく違和感を感じるのはわたしだけではないはず。明確な定義は「直接か」だけれども、それ以外にもD2Cがはらんでいるものはたくさんあります。それらを無視して時代の波に乗りたいがために、私たちはD2Cです、というのはいかがなものでしょうか。

最近はブランディングしたいというお話たくさんいただきます。D2Cやりたいんだけど、という方もいました。でも、D2Cはブランディングの一つの姿にすぎないので、はじめからD2Cを前提としてすすめるのはあまり良くないです。B2Cだって全然いいじゃないですか。

ブランディング興味ある人は声かけてください。D2Cはきっと難しいぞ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?