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踏み込んでこう、色々と。

パーン、とクラッカーを引くカクを

私は冷めた目で見つめる。


「ハッピーニューイヤー!!」

「いや、なにしてんの。」


年を越す一分前となった瞬間、
何やら鞄を漁りだして

なんか準備したなー、と思ったら


まさかのクラッカーだった。


「店長がクリスマスの売れ残りくれたの!!」

「あー、クリスマスのね。
だからサンタ帽被ってるのか。」

「お祝いだからね!!」

「宗教違うし。」


クラッカーから飛び散った
紙吹雪とテープを私が静かに拾うと

カクも笑いながら拾う。


「カク、実家帰らないの??」

「明日帰るよ!!
今日はバイトあったしね!!

結奈ちゃんこそ、大丈夫??」


私は今日は

明日香の家に泊まる、って

地味な嘘をついてしまった。



カクの家に泊まる、なんて

口にするのは

恥ずかしすぎた。


「…、」

「……。」


なにこの感じ。


意味もなく、緊張する。


「…はい。
紙、拾い終わったよ。」

「あ、う、うん、ありがとう。」


不自然に笑い立ち上がるカク。


私もその場に体育座りし

置いてあったお菓子を食べる。


カクはゴミを捨てると

私の隣に座った。


「今年もよろしくっ!!」

「こちらこそよろしく。」


カクの敬礼に敬礼で返す。

するとカクは何かを決めた様に
私の手を握った。


「…ゆなちゃん、」

「…はい。」


「キスして良いですか。」


私が小さく頷くと

唇に触れた感触。


私を少し引き寄せて

息をした瞬間、


カクの舌が絡んで

ドキドキが速くなった。


ギュ、とカクに抱き着くと

そのままカクの口が移動して

首筋、鎖骨に向かう。


「で、でんき、けして??」

「うん、」


消してって頼んだけど

実際消えたら


更にドキドキした。


「…ゆなちゃん、」


耳元で名前を囁かれ

びくって、体が反応する。


「…りょうすけ、」


指を絡めたら押し倒されて

なんか、2012年の良介さんは


やたら積極的だった。



踏み込んでこう、色々と。







**


とりあえず、なんていうか、

俺はもう少し
男らしくあるべきだし、


昨年より積極的に…、

…どうなんだろ。






2012.01.01

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