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実録!『死刑にいたる病』を映画館で見た!!

『死刑にいたる病』を見てきた。                      原作小説はすでに読んでいたので気にはなっていた。コロナ禍になってから、密閉された空間である映画館は行かないようにしていたのである。

でもまぁ、大丈夫だろうということで久しぶりの映画館であった。

この作品は、PG-12であるが、なかなかショッキングなシーンが含まれている。小説では主人公の筧井雅也(岡田健史)と殺人鬼の榛村大和(阿部サダヲ)の、拘置所の面会室でのやり取りや、筧井雅也による事件の調査などが主な内容なので、残酷描写がここまでしっかりと描かれているとは思わなかった。                                 拷問を受けている被害者の高校生やOL役の人たちが本当に地獄の苦しみを味わっているようでお上手でした。こちらの具合が悪くなるくらいに(笑)。映画館の冷房が効いておらず、暑くて気持ち悪い上に、この描写である。もう途中で帰ろうかと思うほどであった。いや、まじで。

阿部サダヲは「踊る大捜査線」みたいな髪型だったのが唯一気になった。わかる人は思い出しちゃうだろ。なぜあの髪型にしたのかなぁ…。

岡田健史の演技を初めてちゃんと見たが、筧井雅也を構成する「人生半分諦めたような部分」、「周囲にいちいち作用されてしまうようなセンシティブな部分」、「学生生活の部分」の演技がよかった。それにいい男じゃないですか。こういう無骨なタイプはいいですね、チャラチャラしてなくて。    あと、杉野遥亮と見分けがつかなかったのだが、この作品のおかげで解決しました。

犯罪者との度重なる面会という設定は「羊たちの沈黙」を想起させる。  とは言え、「独房と拘置所面会室」「FBI訓練生と大学生」とでは、やはり雰囲気が変わって、全くの別物として見ることができる。

そういえば、筧井雅也は父親からは厳しい躾を受け、母親は頼りなく、高校入学後から成績が下がり、昔を振り返り「ほとんど祖母に育てられたようなもの」と言わせている。                       クラリス・スターリングは幼い頃に母を亡くし、父が強盗に射殺され孤児になるという背景がある。つまり、その子供時代は幸か不幸かと言えば後者であり、かつ親のいない子供と言える。榛村大和と筧井雅也、ハンニバル・レクターとクラリス・スターリングは、親子みたいなものなわけだ。榛村大和と筧井雅也について言えば、筧井雅也が子供の頃からの付き合い(パン屋店主と客)があり、さらに言えば、筧井雅也が生まれる前すでに、筧井雅也の母親と榛村大和は親しい友人であったことを考えれば、榛村大和と筧井雅也の繋がりは、決してほどけない糾える縄の如しなのである。

ちなみに、この小説のタイトルは、もともと「チェインドッグ」という。 カタカナなので正確なところはわからないが、おそらくchain(ed) dogであり、鎖につながれた犬の謂かと思われるが、主要登場人物が皆(榛村大和でさえも)不幸な生い立ちであることを表し、そして、どこかで繋がっていることも表している。筧井雅也の母親と榛村大和が若いころから知り合いであったように、そして、筧井雅也の彼女と榛村大和も繋がっていたように。

そうそう、エンドロールに岩井志麻子の名前があり、どこに出演していたのかまったくわからなかったのだが、パンフレットを見返して、あの犬を連れていたおばさんだということが判明した。演技が上手ではなかったので、ロケ地の近所のおばさんを出演させたのかと思うほど、普通のおばさんに擬態していたのは、さすがであった(笑)


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