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とつとつダンスについて

■とつとつダンス概要

2009 年11 月:京都府舞鶴市の特別養護老人ホーム「グレイスヴィルまいづる」にて砂連尾理の作品創作のためのダンスワークショップが始まる。

2010 年3 月7 日:舞台公演「とつとつダンス」上演(会場:舞鶴赤れんが倉庫・まいづる智恵蔵)。

2010年4 月:砂連尾理によるダンスワークショップが「グレイスヴィルまいづる」で開始される。

2010年7月22日:豊平豪「文化人類学カフェ」開始。

2010年12月10日:西川勝による「とつとつ勉強会」が「グレイスヴィルまいづる」で開始。

2011年4 月:砂連尾・西川の二人による「とつとつダンス・ワークショップ」が開始。

2020年3月:オンラインダンスワークショップ開始。現在はオンライン自体のケアのコミュニケーションの可能性も探っている。


●「シリーズとつとつ」は、「とつとつダンス」公演の後、特別養護老人ホーム「グレイスヴィルまいづる」にて、10年間で計200 回以上行われており、参加者総数は約1000名を超える。
 参加者は多様な人々で構成されており、グレイスヴィルまいづるの入居者(要介護高齢者、認知症高齢者を含む)や看護・介護職員、事務職員、栄養科職員だけでなく、近隣の住民(小学校教師、中学校教師、主婦、学生、自衛隊員、府職員、団体職員、自営業者、会社員、フリーター)、遠方からの参加者(ダンサー、舞台芸術家、映像作家、写真家、歯科医師、理学療法士、NPO 職員、大学教員、大学生、新聞記者、出版業者など)も多く参加している。
 年齢、性別、職業の異なる人たちが、身体ワークショップ・人類学カフェ・勉強会の複数に共通して参加していることも特徴的である。
 ケアとアートが出会い、そこに哲学や文化人類学といった知の活動が巻き込まれたのが特別養護老人ホームという場所だった。施設で暮らす高齢者や、施設職員、地域の人たちや、遠来の客人まで、さまざまな人が、ともに身体を動かしながら交流して、自らの新たな感性に気づく。また、言葉を交わし合って、お互いの考えを深めていくのが「シリーズとつとつ」の目的である。現在は砂連尾理のダンスワークショップのみオンラインで継続中。<とつとつダンス>はオンラインシンポジウムやマレーシアのミュージシャンとの共同ワークショップなど様々なかたちで引き続き精力的に活動している。

西川勝編著「笑う舞鶴:「シリーズとつとつ」実践報告」(大阪大学コミュニケーションデザインセンター、2012年)

砂連尾理著『老人ホームで生まれた〈とつとつダンス〉:ダンスのような、介護のような』(晶文社、2016年)、編集 淺野卓夫 ライター 青山ゆみこ

<砂連尾理>
ダンサー・振付家。1991年寺田みさことダンスユニットを結成。近年はソロ活動を行い、舞台作品だけでなく臨床哲学者や、映像作家、情報・ロボット工学者と様々なプロジェクトを行う等、ジャンルの越境、文脈を横断する活動を行っている。2008年度文化庁・在外研修員としてベルリンに1 年滞在。近年の作品に「Thikwa+JunkanProject」「とつとつダンス」「家から生まれたダンス」等。立教大学現代心理学部・映像身体学科特任教授

<西川勝>
臨床哲学プレイヤー・看護師。精神科病棟での見習い看護師を皮切りに、人工血液透析、老人介護施設と職場を移しつつ、二十数年にわたって臨床の現場での経験を積む。その一方で、関西大学の二部、大阪大学大学院文学研究科にて哲学を学び、看護の実際に即してケアのあり方をめぐる哲学的考察をおこなう。現在は「認知症ケア」に関わるコミュニケーションの研究・実践を進行中。大阪大学コミュニケーション・デザイン・センター特任教授を経て、認知症初期の人のための事業所「ゆっくりの部屋」の運営など行っている。
単著として『ためらいの看護』(岩波書店)、『となりの認知症』(ぷねうま舎)、『「一人」のうらに —尾崎放哉の島へ—』(サウダージ・ブックス)。共著として『ケアって何だろう』(医学書院)、『認知症ケアの創造』(雲母書房)など。

<豊平豪>
文化人類学研究者・リサーチャー。南山大学、大阪大学で文化人類学を学んだあと、2009年より京都府舞鶴市に居を移し在野の研究者として活動。現在はさいたま市在住。torindo事務局として作品制作やアートプロジェクトの運営に携わる一方で、文化人類学の視点から舞台芸術やアートプロジェクトの調査・記録・研究も行っている。

<一般社団法人torindo(代表理事:豊平豪)>
2009 年から舞鶴市内で行われているアートプロジェクト「まいづるRB」の運営団体として活動を行っている。活動のきっかけとなった舞鶴赤れんが倉庫(赤れんがパーク)のほか、市内小中学校や老人ホーム、商店街などと連携しながら、舞鶴市内各所でアーティストとともに行う活動を展開してきた。また京都、大阪、東京などでもジャンルを横断したさまざまな展覧会や舞台公演等の企画・マネジメント・コーディネートを行う。

<グレイスヴィルまいづる>
舞鶴市内にある特別養護老人ホーム。入居者、家族、職員、地域とともに「共に暮らし、共に考え、共に感動し、共に働く」をモットーに、すべての人に優しい施設運営を目指し、全室個室の新型特別養護老人ホームとして、平成17 年4 月に開設。

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