#208 月風魔伝~流武安杯準決勝
流武安杯の準決勝、我らが越後上杉軍は、まず川崎北条軍の出撃を自国で迎え撃つこととなった。先日の勹一総当戦では川崎へ攻め入ったものの、等々力城の荒れた芝に足を取られ、上杉軍得意の車懸かりの陣を生かした構築進軍も不発に終わった。相手前線からの強烈な圧迫攻撃と、恵李遜の獅子奮迅の活躍により、我が軍は総崩れとなり大敗を喫していた。そのため、この日の戦いは慎重な立ち上がりを見せた。
しかし、戦の幕が上がるやいなや、まずは上杉軍の日本海砲が火を噴き、見事な先制点を挙げる!続いて、これまで怪我に苦しんできた軒猿衆の修による秀な襲からの蹴で、シュッシュッシュッシュッシュシュエヴィバーディ♫な追加点で引き離す。その勢いは止まらず、司令塔・長谷川元希玉が炸裂!最後は、この日圧倒的なパフォーマンスを見せた軍団星筆頭がダメ押しの一撃を決め、川崎北条軍を完全に瓦解させた。結局、最後敵の飛び道具で一矢報いられたものの、鬼〝小島〟弥太郎欠いた守備陣はそれ以上の追撃を許さず、上杉軍はこの初戦を思惑以上の快勝で終えることができた。
局面が変わり、上杉軍は再び川崎の北条軍が籠る等々力城を攻めるため、精鋭を率いて出陣した。しかし、その場で上杉軍は不穏な異変を感じ取る。城内から漂う不気味な静寂は、それまでの激しい攻防戦とはまったく異質だったのだ。「何かがおかしい…」と上杉軍は疑念を抱く。その疑念が確信に変わるのに、そう時間はかからなかった。
突如、等々力城の門がゆっくりと開かれる。そこから現れたのは、黒と青の装束に身を包んだ謎の集団。その先頭には北条軍の大将、北条氏政が立ちはだかり、上杉軍に向かって言い放つ。「北条は我ら風魔党の傀儡なり!」次の瞬間、北条氏政の顔が額から縦に割れ、その中から黒い影が現れる。その影は、自らを「風魔不論太郎」と名乗った。
「我々風魔党は先代の風魔夜飛郎(かざまやひろう)様の時代より実質川崎を支配しておった!それは役行者(えんぎょうじゃ)の名の元に夜飛郎様の新たな幹部として任命を受けた、後鬼様の時代となった今現在も変わっておらぬ!今日はぬしら上杉軍に、【等々力激情】を見せてやろうぞ!!」
川崎風魔党の陣容を見渡すと、第一戦では姿を見せなかった鄭成龍が等々力城の門を固守している。また前線には恵李遜に加え、真・夜魔陀も控えている。一方、我らが上杉軍の一番槍を担うのは、新戦組最強の男、長倉親二十七だ!
上杉軍は第一戦の勢いをそのままに川崎風魔党へ猛攻を仕掛ける。しかし、ことごとく鄭成龍が立ちはだかる。「これで仕留めた!」と思わせた長谷川元希玉は右足一本で弾き飛ばされてしまった。やはり等々力城で得点を奪うのは難しいかと思われた前半三十一の刻、上杉軍の若き韋駄天、小見丸刈元気印が試合を動かした。橙蹴(トゥキック)で見事に先制点を決めたのである!これでついに川崎風魔党の尻にも火が付き、次々と刺客を送り込んで上杉軍の守備を崩そうと迫ってくる。
しかし、上杉軍は決して怯まなかった。相手に鄭成龍がいるなら、こちらには舞行龍がいる!さらに若き越後隼人、稲無羅と共に、上杉の守りを固く守り抜いた。軍師・力蔵は再び号令を放つ。「我らは一つに団結し、相手の圧迫攻撃に惑わされることなく前進せよ!雪辱を果たすには、あと一点足らぬ!」
その言葉に奮起した上杉軍の選手たちは、相手の攻撃に細心の注意を払いながら、逆に川崎風魔党を次第に追い詰めていく。団結を取り戻した上杉軍は、個々の戦闘技術に加え、連携と士気の高さで風魔忍者たちを圧倒していった。
そしてついに待望の追加点がもたらされた。軒猿衆の修がその功を果たす。鄭成龍との一対一の局面でも冷静さを保ち、上杉軍の「車懸かりの陣」に倣い、手裏剣のように回転をかけた一撃は、等々力の最後の門を貫いた。
その後、時間切れの笛が鳴り響き、長きにわたる戦いは終わりを迎えた。結果は越後上杉軍の快勝。等々力城の陥落は、上杉軍の団結力と忍耐の賜物であった。
しかし我々はまだ何も手にしていない。目指すべき天下布武を成すには次の国立決戦での勝利が必須である。
そして…
その相手は第六天魔王織田信長率いる名古屋軍と決まった。
追記:
今回の記事いかがでしたでしょうか。実は今回の物語はネットフリックスオリジナル作品『忍びの家』を見るとさらに楽しめる内容となっています。というか、決勝進出が決まった嬉しさと、『忍びの家』がめちゃくちゃ面白くてハマった勢いで書きました。よろしかったら是非観てみてください。
そしてまさかルヴァン杯の決勝の組み合わせが、我がアルビレックス新潟と、戦国三英雄を輩出した愛知県に居を構える名古屋グランパスとなるとは、思ってもみませんでした(爆)。軽い気持ちで今年から始めた企画ですが、我ながら神企画だったようです。決勝はもちろん勝って、我がクラブ初のタイトルをゲットするとともに、ニャポ太の野望が成就することを願ってやみません。