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AVENIR POPANDOPOULO傑作選(4)

(6) Avenir Popandopoulo (Concours FIDE 1963/65, 3rd Prize)

#10 (11+10)

 (6)に見られるように、POPANDOPOULOはしばしば捨駒を含むRomanを創作している。黒Rh7はb7に利きを持つ。そこでまずは1.Kc4!(スレットは2.Sb3#)とし、以下1...Rh4+ 2.g4! Rxg4+ 3.Kb3 Rg7と進めると、この黒RはBh8の利きを止めてしまうので4.Kb2!!が可能になる (スレットは再び5.Sb3#。かえって黒のバッテリーに狙われる危険な場所に出て行くようだが、4...R--+なら 5.Kb1! b3 6.a3 --- 7.Sb3#まで) 4...Rg4+! (5.Kb1? なら5…b3! 6.a3 Rxa4!で逃れ。かなり見えにくい逃れ順である) 5.Sf6!! Bxf6+ 6.Kb3 Rg7と進む。この局面と3.0手目の局面を比較すると、白Sg8がなくなっていることと黒Bがf6に移動していることを除いて同じであり、利きを遮断することができたh8にいるときよりずっと黒Bの利きが強まっているように思えるのだが…。わざわざこのようなパラドキシカルな状況を生み出したのは、何の為なのだろうか?

 白は再び7.Kc4! とする。以下7...Rg4+ 8.f4! Rxf4 としておいて9.Kb3 と再度スイッチバックすれば、もはや黒はどう指しても10.Sxb7#を受けることはできない(9...Rf7 ?とはできないから。ここは少しNovotnyに似ている)。

趣向的な手順で、とてもエレガントな作品だ。黒Rの大きな運動と、白Kの細やかな動き。(’Roman’という修飾語は、このような作品にこそ相応しい。実際、2.Kb3? Rh7!と指してみれば、テーマが明確に理解できる)

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