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楽しいレトロプロブレム(3)

(2) Julio Sunyer (Chess Amateur 1926)

双方1手ずつ戻し、それからH#1にせよ(1+1)

 (1)の作意順は、Retract:-1.Kg6xRh5 Rh8xQh5 and 1.0-0 Qh7#というものです。castlingがすぐに閃きましたか?
 でも、本当は上の手順が閃いただけでは不十分です。ちゃんと、H#1の局面で黒のcastlingが合法であることを確認しましたか?ここでは黒番ですから、その直前の着手は白の手です。このとき白が何か黒駒を取っているとすれば、黒のKとRがいずれも不動であることを正当化できます。よって黒はcastling可能です。
 ちなみに、castlingは「不可能であることが証明できない限り可能」というのがプロブレムにおける一般則です。対照的にen passantは「可能であることが証明できない限り不可能」となっています。どちらもレトロでは頻出なので、是非御記憶下さい。

 ついでに、逆算時の表記法についても説明しておきましょう。例えば、 -1.Kg6xRh5というのは、h5にいる白Kをg6に動かし、h5に黒Rを発生させることを意味します。つまり、あたかも映画のフィルムを逆回しにするように、すべてにおいて通常の手順と逆向きの動きと解釈するのです。
 出題図で白黒の順に戻すのは、「H#1の局面において黒がcastlingせずにRxh5とし、次に白がKxh5としたので出題図になった」と考えれば理解できますね。

(3) Michel Caillaud (The Problemist 1995-1996)

Proof Game in 6.5 moves (16+15)  b)7.5 moves

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