私家版・近代将棋図式精選(64)
(115)小川悦勇「花車」
(近代将棋 昭和63年2月号)
13銀、35玉、24銀、46玉、35銀打、同金、同銀、55玉、44銀、64玉、
53銀、74玉、85馬、83玉、84金、72玉、63馬、同玉、73桂成、同と、
62金、54玉、44と、55玉、45と、66玉、77銀、57玉、56馬、同玉、
48桂、同と、46と、同玉、43龍、35玉、95龍、同香、44銀、46玉、
55銀、35玉、A46銀、26玉、35銀、同玉、45龍、24玉、33銀、23玉、
24歩、14玉、13桂成、同玉、15龍、14飛、23歩成、同玉、14龍、同玉、
24飛、15玉、16歩、同玉、27金、15玉、26金迄67手詰。
(詰上がり図)
A45龍は、24玉、33銀、15玉で逃れ。(26桂がなければ16歩、同玉、36龍以下詰む)
適度な変化・紛れを含んで、67手の長丁場を飽きさせない。特に、序で5回も動いた後収束の入り口で再び連続移動し、最後は邪魔駒である26桂を消去して散る銀が印象深い。大ベテランの老練な創作技術が堪能できる一作。
(116)酒井克彦
(近代将棋 昭和63年4月号)
23歩成、同銀、22飛、41玉、53桂、同馬、42飛打、31玉、21飛成、同玉、
22飛成迄11手詰。
例の二枚飛車の筋を変化に忍ばせているが、この駒数で纏められたのが素晴らしい。世界の付録の解説では、筆不精な作者らしくぶっきらぼうに「気に入りの作」と書いてあるが、構想派短中編の第一人者がこの作を殊の外愛でているというのは何だか意外な気がする。だが、詰将棋作家の自作に対する愛情というのは、案外そういうものなのかもしれない。
(117)角 建逸
(近代将棋 昭和63年6月号)
34角、イ23桂、24桂、13玉、23角成、同玉、32龍、13玉、12桂成、同玉、
45馬、13玉、35馬、24金、同馬、同玉、35金、13玉、14歩、同玉、
26桂、13玉、24金、同玉、34龍、13玉、14龍迄27手詰。
イ23歩は同角成、同玉、24歩、14玉、26桂、13玉、22龍、同玉、23銀以下。
いかにもこの作者らしい、読みを入れて手順を紡ぎだしたという感じの実戦形。合駒の意味付けはどちらも難しくないので、収束まで心地よい手順が楽しめる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?