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L.Cerianiレトロプロブレム傑作選(20)

(20) Luigi Ceriani (Europe Echecs 120 01/1969)

局面をほぐせ (12+15)

 なくなった駒は白がBSPPの4枚で、黒はR1枚のみ。白はe筋でPによる駒取りがあり、黒はb,g筋でPによる駒取りをしている。後は黒がd,e筋でcross captureをすれば、これで双方の駒取りは尽きている。また、明らかにa,h筋の白Pは成っている。よって、これらのうち少なくとも一方を戻さない限り、黒Pの駒取りを戻すことはできない。
 まず、序は以下のようになる。

Retract: 1.Qc7-c8+ Sb2-a4 2.Kc8-d8 Sd3-b2 3.Qd8-c7 Sb4-d3 4.Rc7-c6 Rc6-d6 5.Pd6-d7 Sa6-b4 6.Qd7-d8 Sb8-a6 7.Kd8-c8 Sa6-b8 8.Pc2-c3 Sb8-a6 9.Rc8-c7 Rc7-c6

           (図1)

 早々と虎の子のPc3を使ってしまい不安になるが、これ以外に逆算を進める方法はない。黒Be8を動かしたときにチェックにならないよう、白Kの位置をc8からd8に移動しておく必要がある。また、9.Qc8-d7として、そのあと9...Bd7-e8 10.Re8-f8と早まってはいけない。後で見るように、ここは黒Rをc7に連れてくるのが重要なのだ。
 
10.Qc6-d7 Bd7-e8 11.Re8-f8 Qf8-g8 12.Bg8-f7 Qf7-f8 13.Rf8-e8 Be8-d7

           (図2)

 右上で展開するも、すぐにほぐれてはくれない。ただ、白Bと黒Qの位置を入れ替えることができた。これでもう一度ここをほぐしにかかれば、今度はうまくいくのだが…。

14.Qd7-c6 Rc6-c7 15.Qc7-d7 Bd7-e8 16.Re8-f8 Qf8-f7 17.Bf7-g8 Qg8-f8 18.Sf8-h7 Qh7-g8...

           (図3)

 ここで再度ターンするための配置がQc6/Rc7なのだ。(Rc7,Qc8/Rc6ではうまくいかないことを、各自ご確認ください)これによってもう一度右上に手を付けることができ、今度は黒Qを解放することに成功する。後の手順は容易である。

 局面のほぐし方が今迄にないパターンであることが、本作の最大の特徴。つまり、待ち手を作る為に予め白Pを戻しておくのでもなく、白が奇数手指すことによって黒Rがずれるというのでもない。仕掛けの部分を一度いじるだけでは完全にはほぐせず、再度そこに戻ることでやっとほぐれるというのが、何ともユニークではないか!

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