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L.Ceriani レトロプロブレム傑作選(16)

(16) Luigi Ceriani (Europe Echecs 86 03/1966)

a筋の黒Pの初手は?(14+14)

 最終手はQg8-h8#しかない。なくなった駒はそれぞれBP/RPで、白の駒取りはe7とf筋のPによるもの、黒の駒取りはg筋でのPによるもの。更に、a筋の白Pは成れないので、直進途中で取られている。これで双方の駒取りは尽きている。
 局面をほぐすにはPd6xRe7と戻す必要がある。Pf6による取りはこれより前。よって白は黒Pd7を取ることができないので、この成駒は最後まで盤上にあり、それはBa4である。では、このBの成を戻すことを目標に逆算してみよう。

 まずは、1.Qg8-h8# Pb6-b5(もしb7-b5だとすると、Pd6xe7の時点でBc8がいることになり、このBを取った白駒がないので矛盾)2.Pb2-b3 Bd1-a4...としてみよう。だがこれだと、d筋の黒Pを引き戻すのには全然手が足りない。しかし、すぐにa筋の白Pを戻すことも不可能。よって、黒Pa3を戻す為の時間稼ぎが必要になり、それには白Qを動かせるようにするほかない。ということで、1.Qg8-h8# Pb6-b5 2.Pb2-b3 Bc2-a4 3.Pc4-c3 Bh7-c2! 4.Qh8-g8 Pa4-a3... として白Qが往復できるようにし、その間に黒はa筋のPを引き戻すという戦略が見えてくる。

           (図1)

引き続き逆算してみよう。

5.Qg8-h8 Pa5-a4 6.Qh8-g8 Pa6-a5 7.Qg8-h8 Pa7-a6 8.Qh8-g8 Bd3-h7 9.Qg8-h8+ Ba6-d3

           (図2)

 ここで白は手に困ったように見えるが、Pf6を戻す手がある。これで無事白Pa6を発生させることができた。もうこれで大丈夫だろうか?

10.Pf5-f6 Bd3xPa6 11.Pf4-f5 Bc2-d3 12.Pa5-a6 Bd1-c2 13.Pc2-c3 Pd2-d1=B 14.Pa4-a5 Pd3-d2 15.Pa3-a4 Pd4-d3 16.Pa2-a3 Pd5-d4 17.???

           (失敗図)


 

 おかしい、白の手が一手足りない。ここで「ああそうか、更にもう一度白Qを利用するのか」と気付けば、やっと解決に辿り着いたことになる。10.Pf5-f6 Bd3xPa6 11.Pf4-f5 Bh7-d3 12.Qh8-g8 Bc2-h7 13.Qg8-h8+ Bd1-c2 14.Pc2-c3 Pd2-d1=B 15.Pa5-a6 Pd3-d2 16.Pa4-a5 Pd4-d317.Pa3-a4 Pd5-d4 18.Pa2-a3 Pd7-d5 19.Pd6xRe7...

           (図3)

 以上より、問いに対する答えはPa7-a6である。気付いてみれば当たり前のことなのだが、Pf5-f6と白Pを戻した際、黒Bがもうh7に行けなくなるので、更にPを引き戻せば再度白Qを活用できるというのは盲点になりやすいのではないだろうか。

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