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L.Ceriani レトロプロブレム傑作選(17)

(17)Luigi Ceriani (Europe Echecs 102 07/1967)

局面をほぐせ(13+14)

 なくなった駒は白がSPPの3枚で、黒はQPの2枚。白側の駒取りはPc7,e7によるもので尽きている。一方黒側の駒取りはe筋でのPによるものが1回。a,h筋の白Pはいずれも直進途中で取られているので、この黒Pが取った駒は白Sであることも分かる。更に、f筋の黒Pは直進して成っていること、そしてそれがRf6であることも明らかだろう。この黒Pをf7まで戻しておいてPf6xe7と戻すことが、逆算の目標である。
 初形で白Kにチェックがかかっていることから初手は1...Sb7-d8+であり、対する白の戻し手も2.Pd2-d3しかない。白の後続手段を作り出す為には、黒は2...Rf2-f6とする他ない。勿論、白の次の手は3.Bg1-h2だ。

           (図1)

 この後、3...Rf3-f2 4.Bh2-g1+ Re3-f3 5.Bg1-h2 Re4-e3...というように開き王手を利用して自由に黒Rの位置を変えられること、そしてこれが詰将棋の連取りと全く同様の仕組みであることにすぐ気付くだろう。しかし、ただ位置変換をしているだけでは意味がない。詰将棋とは逆に、白Pをuncaptureすることで白の待ち手を作り出すことがその目的となる。特に、h筋の白Pを発生させれば3手の猶予を生むことになるのだが、すぐにこれをuncaptureすることはできない。従って、まずはa筋の白Pを戻すことになる。

3...Rf3-f2 4.Bh2-g1+ Re3-f3 5.Bg1-h2 Ra3-e3 6.Bh2-g1+ Re3xPa3 7.Bg1-h2

           (図2)

 これで白は待ち手が1手できた。白Bを動かさなくて済むということは、それだけ黒Rが仕事をする時間が生じるということを意味する。この1手を最大限に活かして、今度こそh筋の白Pを戻しにかかろう。

7...Rf3-e3 8.Bh2-g1+ Rf2-f3 9.Bg1-h2 Rf6-f2 10.Bh2-g1+ Rh6-f6 11.Pa2-a3 Rf6xPh6 12.Ph5-h6 Rf2-f6 13.Bg1-h2

           (図3)

 無事、h筋の白Pも戻すことができた。後は当初の予定通り、黒Rをunpromotionするだけだ。

13...Rf1-f2 14.Bh2-g1+ Pf2-f1=R 15.Bg1-h2 Pf3-f2 16.Bh2-g1+ Pf4-f3 17.Ph4-h5 Pf5-f4 18.Ph3-h4 Pf7-f5 19.Pf6xQe7

           (図4)

 これでもう局面はほぐれている。後は、19...Pg5-g4 20.Pf5-f6 Qf6-e7 21.Pf4-f5 Re7-d7 22.Rd8-d6...というように進めていけばよい。

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