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温故知新(詰パラ299号)

 今日は詰パラ299号(昭和56年1月号)を読んでみよう。少しページをめくると「メガロポリス」が出題されている。そうか、56年というのは、かの有名な三重衝突が起こった年だったか。
 この狭いスペースにとても全手順は書けないが、故山本昭一氏に敬意を表して、図面だけは載せておくことにしよう。

           山本昭一「メガロポリス」

(詰パラ 昭和56年1月号、第20期看寿賞長編賞)

「持駒変換+多重連取り」という新手法を用いて超長手数の分野に革命をもたらした、記念碑的作品。ちなみに、解答発表を見ると解答者全員が変別解に陥り、正解者は一人もいなかったようだ。
 尚、この原図には後で余詰が見つかっている。(「怒涛」には修正図で収録されている筈)

 それから、フェアリーランドに行くと、結果稿にまたまた左真樹氏の天竺煙が載っている。早速引用しておこう。

           左 真樹

天竺詰(詰パラ 昭和55年10月号、第7回前衛賞長編賞)

91桂成、同玉、93香、同玉、83と、同玉、84歩、同玉、85歩、同と、
同銀左、73玉、74歩、同金、同銀、64玉、63金、74玉、75歩、同と、
同銀左、63玉、64歩、同金、同銀、54玉、(A)65金、同と、同銀左、
43玉、53銀成、同玉、54歩、同と、同銀、44玉、53銀、同玉、54歩、
同玉、55歩、同と、同銀、43玉、37玉、45歩、同香、同と、44歩、
同と、同銀、32玉、33銀成、31玉、32香、同金、同成銀、同玉、24桂、
同と、33金、同玉、25桂、同と寄、34香、同と、同歩、同玉、35歩、
同と、同と、33玉、34と、32玉、33と、31玉、32と、同玉、33歩、
同玉、34歩、同玉、35歩、同玉、36金、34玉、35金、33玉、34金、
32玉、33金、31玉、32金、同玉、33歩、同玉、34歩、同玉、35歩、
同玉、27桂まで101手詰。

 (A)のところ53金と打ったために1歩不足になった解答者が続出した模様。確かに、直前のサイクルでは75金だと同と、同銀左、53玉、63銀成、43玉で逃れてしまうし、何より今までの左氏の天竺煙がみな趣向手順を含んでいたために、惰性で同様の手順を繰り返したくなるのも無理はない。ここさえクリアすればあとはそんなに難しいところはない。収束で天竺特有の単騎追いが繰り返されて幕となる。

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