見出し画像

私家版・近代将棋図式精選(05)

          (9)明石六郎

9 明石六郎

          (近代将棋 昭和55年6月号)
           第55期塚田賞新人賞

21金、同飛、12歩成、同玉、14香、13角、同香成、同玉、24角、14玉、
35角、34金、24金、同金、同飛、13玉、14飛、22玉、12飛成、同玉、
13金迄21手詰。

 明石氏の近代将棋初入選作。金中合以降は既成手順と言ってもいいが、そこへ持っていくまでの手順と落ち着いた初形が高く評価された。しかし、その後の明石氏の作品を知っていると、これはかなり鬼子的な作品だったのだなとも思う。

          (10)近藤 郷

画像2

          (近代将棋 昭和55年7月号)

75桂、同歩、55桂、73玉、74飛、82玉、71銀、同馬引、72飛成、同馬右、
74桂、71玉、63桂、同馬、82金迄15手詰。

 桂香を配置しているとはいえ、この初形を実戦形とは呼び難い。手順もまた、馬2枚の強力な守備を捨駒連発で無能化するという、いかにも作り物めいたもの。配置はやや広いものの、71銀-72飛成という連続捨駒には一局を支えるだけのキレがある。

          (11)森長宏明「ハレー彗星」

11 森長宏明「ハレー彗星」

          (近代将棋 昭和55年8月号)
           第56期塚田賞長編賞

97角、87玉、98銀、同玉、31角生、89玉、49飛、79歩成、98銀、78玉、
79飛、同玉、13角生、24歩、同角成、68角、同馬、88玉、77馬、同玉、
79香、78銀、68角、88玉、89歩、同銀成、同銀、同玉、78銀、88玉、
77角、79玉、99飛、78玉、68金、87玉、89飛、76玉、85銀、75玉、
86角、53角成、94玉、95歩、同玉、86馬、84玉、85馬、83玉、84馬、
92玉、74馬、91玉、81飛成、同玉、72歩成、同玉、63銀成、81玉、
72金、91玉、73馬、92玉、82馬迄65手詰。

 97に打った角を31→13と不成で展開することにより、態度打診の一歩を稼ごうという構想作。しかし、作者も絶対思っていた筈だが、何とか30手台の中編でまとめたかったところだ。後片付けが40手も続くのでは、やはり纏め損ねたという印象を受けてしまう。
 もっとも、この作者の力をもってしてもこうなったのだから、これがほぼ最善の仕上げであるとは思うが…。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?