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私家版・近代将棋図式精選(58)

           (101)添川公司「白夜」 

101 添川公司「白夜」

          (近代将棋 昭和61年11月号)
           第68期塚田賞長編賞


83歩生、91玉、92歩、同玉、93と、同玉、84と上、92玉、82歩成、同玉、
83と右、91玉、81と、同玉、71歩成、91玉、81と、同玉、72香成、同金、
同香成、同金、同と、同玉、73金、61玉、62金打、同金、同金、同玉、
73と左、52玉、63金、同成銀、同と寄、42玉、53と左上、同成香、同と寄、
32玉、22と引、同成銀、43と寄、21玉、32銀、同成銀、同と、同玉、
43銀、21玉、32銀打、11玉、12と、同玉、13香、22玉、33と、同と、
34桂、同と、23歩、13玉、25桂、同と引、同桂、同金、24と、同と、
22銀、12玉、24桂、同金、14香、同金、13歩、同金、21銀直、11玉、
12歩、同金、22歩成、同金、12歩、同金、同銀成、同玉、23金、11玉、
21銀成、同玉、32銀成、11玉、22成銀迄93手詰。

 作者―小駒煙の収束は大きく分けて(a)嫦娥型と(b)驟雨型(銀歩送り)の二つがありますが、本局の収束はこのどちらにも属さないもので、新味があると思います。また小駒煙で玉が自陣(三段目)から出ないのも珍しい。「白夜」という命名には、そういったイメージも含まれています。

 作者の言葉を読むと、添川氏がどういうモチーフで煙を創作しているのかがはっきり分かる。だが、氏の煙詰がどれもこの古典的な条件作を非常に高いレベルで展開していることは認めつつも、氏の才能はもっと別な形、つまり独創的で美しい趣向詰にこそ発揮して欲しいとも思う。


          (102)小林敏樹 

102 小林敏樹

          (近代将棋 昭和62年3月号)

76角、52玉、62飛、53玉、45桂、同桂、65桂、54玉、64飛成、同龍、
53桂成、44玉、43成桂迄13手詰。

 この作者名を聞いてまず思い浮かぶのは、大駒を伸び伸びと自在に操る華麗な作意順だ。しかし私見では、旧来の「変化・紛れで作品に厚みを加える」という手法とは対照的な、できるだけ無駄なノイズを消去することで創作意図が鮮明に浮かび上がるような構成法を採用しているところにその特徴があるように思われる。
 角・桂というトリッキーな駒を駆使したアクロバティックな連続両王手の収束は、発表から30年以上たった今も新鮮さを失っていない。

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