透明駒をはじめから(4)

 では、ここからはかしこ詰を扱いましょう。

           例6

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           かしこ詰 1手(透明駒 1+0)

 作意はX迄1手詰です。これで詰んでいることがお分かりでしょうか?
仮定(2)より攻方は王手をかけていることだけは確かですが、指した本人ですら何の駒をどこに動かして(或いは打って)王手をかけたか分かりません。しかし、どのように王手をかけていたとしても、玉方にはこれを防ぐ手段がありませんから、これで詰んでいることになります(→仮定(4))。
 これはかしこなので、玉方が81歩などとしても全て無駄合ですし(勿論、ばか詰ならば、これで逃れです)、12歩と打った可能性は仮定(1)より排除されます。
このように、「自分でも何を指したか分からないが、詰んでいることは証明できる」という奇妙な状況も、透明駒においては起こりうるのです。

           例7 

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           かしこ詰 5手(透明駒 0+1)

 作意は 18歩、同X、29桂、同X、27馬迄5手詰です。まず18歩が打てる!というのが驚きではないでしょうか。しかし、透明駒では全ての着手は合法と看做されるので、攻方はこの歩を打つことにより、出題図で
①27に玉方透明駒がある
②玉方透明駒は18に利きを持つ
のいずれかであることを主張できます。

 もし①なら18歩を同玉と取るしかなく(27透明駒が18歩を取れるとすると、初形で38玉に王手がかかっていることになるので、18歩が合法であることに矛盾する)、以下 27馬、19玉、28馬迄同手数駒余り。
 もし②なら、これは19にいた金(または小駒成駒)・馬・龍のいずれかですが、3手目29桂により龍の可能性がなくなり、5手目27馬により馬の可能性もなくなります。従って、最終局面で29にいる透明駒は金(または小駒成駒)となり、いずれにせよ27馬で詰んでいます。

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