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市島啓樹の12局(3)

           (5)市島啓樹

5 市島啓樹(15手詰)

          (詰パラ 平成10年6月号、A級首位作)

A17馬、イ26飛、同馬行、46玉、B47金、同玉、C37飛、ロ46玉、35馬、同と、47飛、同玉、48金、46玉、37馬迄15手詰。

A34金は同玉、16馬行、同飛、25金、43玉、42馬、同玉、72飛、31玉で逃れ。
イ34玉は16馬行、同飛、25金、43玉、42馬、同玉、52飛以下。
イ26合は34金、同玉、16馬上以下。(飛・金は売り切れ!)
B48飛は57玉以下逃れ。
C67飛は57銀、37馬、58玉以下逃れ。
C87飛は77歩以下逃れ。
ロ58玉は59金、同玉、77飛以下。

 17馬という味の良い初手に対し飛の移動捨合で応じる序も迫力があるが、続く47金-37飛が無筋の攻めに見えて、やり難いことこの上ない。重ねた大駒も即座に捨て去り、着地も華麗に決める。これでも看寿賞に届かなかったのが実に惜しまれる、いかにも市島氏らしい重量感のある傑作!


           (6)市島啓樹

6 市島啓樹(21手詰)

          (近代将棋 平成5年10月号)

26桂、同と、45銀、同馬、54飛生、43玉、52飛成、34玉、54龍、44馬引、同龍、同馬、52角、43馬、同角成、同歩、25角、同と、35歩、同と、33銀成迄21手詰。

 市島氏の近将初入選がこの作である。不成による邪魔駒消去、移動合による打歩詰誘致のいずれも既出の筋ではあるが、これらを一局に詰め込んで無理なく纏め上げた作者の手腕、そして何より論旨の明快な手順構成は既に新人のそれではない。その後の構想派作家としての氏の大成を予感させるに足る、鮮烈なデビュー作であった。

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