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Michel Caillaud, The chameleon composer(2)

 私もパリの専門店で、プロブレムの本を購入することがある。私が敬愛する作家の一人は、レトロ解析の分野に独自の魅力的な世界を構築したLuigi Cerianiだ。今日、多くの人々がポイントやタイトル、受賞を気にかけているのを目にするが、対照的に「流行」も「栄誉」も殆ど気にせず、自分自身の直感によって作品を創造していったこの作家の人間性に、私は一層強い印象を受けるのである。まさに真の芸術家だ。(Cerianiほどではないが、後に私はセルフメイトの分野でVukota Nikoleticの作品を発見したとき、同じような気持ちになった)
 私はずっとクラシカルレトロに関心を抱いている。もっとも、創作コンクールや、他の作家(Tom Volet, Nikolai Belukhov...)との交流の際の突発的な作品を除けば、もうここは余り生産的な分野ではなくなっているのだが。

 私がLuigi Cerianiのような堅実さを持ち合わせていないのは事実である。私は、「外部の世界」との交流の影響下にある「カメレオンのような作家」なのだ。現在、私はGeorge P. Sphicasとの交流の影響で、連続詰ばかり作っている。それはStrateGemsの他のページで見ることが出来るだろう。
 私のコンピュータ・プログラマーとしての人生(間もなく終わるが)には、特筆すべきことは何もない。私は独身であり、趣味に十分な時間を割くことが出来た。まずもって、チェスプロブレムは私の一番の趣味だ。ハイキングの他にも、読書、音楽、映画などの「古典的な文化」も趣味と言える。
 私の「称号」について触れずに、私の自伝を書くことはできないだろう。私は創作と解図のグランドマスターである。自作の発表数、そして受賞数も正確には分からない。WinChloeのデータベースには2420作入っているが、不完全作と修正図でダブっているものもあれば、類作があって発表数に含めるべきでないものもある。私のプロブレミストとしての活動には、フランスのチェス雑誌(Themes-64, Rex Multiplex, Phenix)での担当も含まれている。
 私は又、WFCCの会議において数年間フランス代表を務めたが、これはいわば「不戦勝」のようなものだった。というのは、私がその会議に出席した唯一のフランス人だったからだ。このような「政治活動」は、私が楽しめるようなものではなかった。

 このような文を書くことは、自分がどのようにしてプロブレムを創作しているのかを考える機会を与えてくれる。私はその「やり方」を正確に定義することは出来ない。良いプロブレムというものは、優れたアイデアと高度な創作技術の融合である。そして創作技術は、経験と訓練の問題だ。私は創作コンクールに参加するのが好きだが、それは野心的な作品を生み出すために必ずしも必要という訳ではない。この種の訓練は「私の脳が働き続ける」ことを手助けしてくれるのだ。
 新鮮なアイデアを得ることは難しい。私の一般的な戦略は「アイデアをかき混ぜること」だ。それには、幾つかのやり方がある。
・他の作家のアイデアに触発される
・共作する
・プロブレムの記事や本を読む
・雑誌に載ったプロブレムを解く

 時々、解図過程において、現在解いているプロブレムには使えないが「オリジナルの」プロブレムに使えるアイデアが見つかることがある!又、余詰筋も新しいアイデアとして使えることがある(No.12を参照のこと)。
 同じアイデアを別なジャンルで使うこと:幾つかのアイデアは「閉じた分野」(ヘルプメイト、レトロ…)で発達してきたものだが、それらは同じ効果を持って他の分野に移植可能だ(No.10、No.11を見よ)。

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