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JOSIF KRICHELI傑作選(6)

(6) Josif Kricheli (Die Schwalbe 1981, 1st Prize)

#11 (3+7)

 先の2つの作品では、対角線に関して対称な趣向手順が反復されていた。(6)でもそれは同様である。これは非常に珍しいメレディスであり、この作者は同様の配置の作品を既に数作手掛けている(例えば、アルバム最新刊の556を見よ)。

 1.Bg8?(スレットは2.Qxg7#)とするのは1...Rh2! で逃れ(以下2.Qxh2 ?? としても2...Kxg8)。従って、キーは1.Bg6! (2.Qxh7#) である。1...Kg8 2.Qd5+ Kh8 (2...Kf8 ?? は3.Qf7#まで) 3.Qd8+ Bg8 と進み、ここから同様の手順が反復される:4.Bf7 Kh7 5.Qd3+ Kh8! (5...Kh6は6.Qg6# 、5...Kh6は6.Qh3+ Kh5 7.Qxh5#、5...g6はQxg6+ Kh8 Qxg8#でそれぞれ詰) 6.Qh3+ Bh7 となって、初形から白Qが2段下がった局面が再現された。白はもう一度同じ攻撃を仕掛ける: 7.Bg6 Kg8 (7...Kh2は8.Qxh2 Kg8 9.Qb8+ Sc8 10.Qxc8#まで) 8.Qe6+ Kh8 9.Qe8+ Bg8 と進めると、白Qは初形と対角線に関して対称な位置(e8)に移動している。従って、次の手が決め手となる:10.Bh7! (これもトライと対称な位置への移動だ) 10...Kxh7 11.Qh5#
 縦横無尽に駆け回る白Qが実に見事である。

(7) Josif Kricheli (Problembad 1981, 2nd Prize)

#17 (6+12)

 KRICHELIはバッテリーの利用法についてのエキスパートとしても知られているが、次の2作がその証左となるだろう。(7)では、以下の4つがテーマに関連するトライである。
1.Bc2+? Ka2 2.Bxb3+ Qxb3!
1.Rb4? (2.Ra4#) but 1...Rxc4! and 1...Sb6!
1.Rb5? (2.Ra5#) but 1...Bd8! and 1...Qc3!
1.Rb7? (2.Ra7#) but 1...Rf7!

 キーは1.Bf5+で、以下1...Ka2 2.Rd2+ (勿論2.Rb7??なら2...b2!で逃れる) 2...Ka1 3.Rb7! とすれば、白Bが黒Rf4の利きを止めているので、黒は3...Bxf2とせざるを得ない。以下、4.Rd1+ Ka2 5.Bb1+ Ka1 6.Bd3+ Ka2 7.Rd2+ Ka1 8.Rb5! と進むと、今度は白Bが黒Qh3の利きを止めているので、黒は8...Bb6 とするしかなく、これが黒Sa8の邪魔をすることになる。更に9.Rd1+ Ka2 10.Bb1+ Ka1 11.Be4+ Ka2 12.Rd2+ Ka1 13.Rb4 とすれば、三度白Bは黒駒の利きを妨害することになる。この白Bは黒Rf4の横利きを止めているので、黒の受けは13...Qd7 しかなく、黒Qが立ち去ったことで白は収束に入ることができる: 14.Rd1+ Ka2 15.Bb1+ Ka1 16.Bc2+ Ka2 17.Bxb3#
模範的な作品ではないか!

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