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プロパラを振り返る(62)

 今日は、プロパラ30号を読んでみることにしよう。

(129) Jean-Marc Loustau (Problem Paradise 30, 2004)

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           H#2 Duplex (4+5)

Duplex:通常の解に加え、白と黒の役割を入れ替えた解も求める。

Black to play: 1.Rh8 Rxh8 2.Bf2 Bxf2#
White to play: 1.Bf2+ Bxf2 2.Rh8 Rxh8#

 Duplexなので白から指し始めて2手で白Kを詰める順もあるのだが、この2解を比較すると完全に反転していることがお分かりだろう。個々の手には妙味は全くないが、こういう様式美の世界というのは詰将棋だとどのジャンルに相当するのかな。(たとえば初形曲詰とか?)

(130) Yves Cheylan (Problem Paradise 30, 2004)

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           H#2.5 2sols.(3+5)

1...Se3 2.g1=S+ Sg2 3.Sf3 Sf4#
1...Sd4 2.g1=R+ Sf3 3.Rgg2 Sg5#

 under promotion2種により、Sの軌跡が変化する。やっていることはシンプルだが、仕掛けもシンプルなので釣り合いが取れている。やたらと大掛かりでごたごたしたものばかり見ていると、こういうのが嬉しくなってしまう。


(131) Christer Jonsson (Problem Paradise 30, 2004)

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           H#3 2sols.(4+7)

1.Sf6 Rh4 2.Se4 Rf4 3.Sd2 Sd5#
1.Sf2 Rc4 2.Be4 Rd4 3.Bf3 Sc2#

 左右で白Rのtempo moveを実現している。どんな筋でも力まずにさらっと表現してみせるのがJonsson流だが、この作などはまさにその典型例ではなかろうか。
 ところでこの作、2解目の詰上がりは1解目の詰め上がりを90°回転したものになっているが、こういうのに何か命名はなされているのだろうか?


(132) 上田吉一 (Problem Paradise 30, 2004)

132 上田吉一

           S#2 (3+3)
           K-Madrasi

K-Madrasi:「同種の敵の駒から取りを掛けられると、その駒は動けなくなる」というmadrasiのルールをKにも適用したもの。

1.Qh5 zz
1...hxg1=Q+ 2.Qh2 Rxh2#
1...hxg1=R+ 2.Qd1+ Rxd1#
1...hxg1=B 2.Qc5+ Bxc5#
1...hxg1=S 2.Qe2+ Sxe2#

 手は限られているのでとっつき易く、それでいて教育的価値は高い。将来プロブレムのフェアリー辞典が編纂されるときには必ず引用されるであろう、理想的な啓蒙作。 
(平成25年4月24日記)

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